「誰も足を踏み入れた事がない海を行く事になる」―。10日に行われたラヴァ・ジャット作戦(LJ)第11弾の記者会見で、検察官の1人が同作戦の今後についてこう語った▼パラナ州の闇ブローカー絡みの金の動きに関する捜査を発端とするLJが、ペトロブラスを巡る大型汚職摘発に繋がった事は弊紙でも報じてきた。その第11弾は、同作戦の発端となった闇ブローカーを巡る不正な金の動きは、連邦貯蓄銀行や保健省にも及んでいる事を明るみに出した▼LJに関しては電力その他の事業への関与も取り沙汰され、終着点が見えないという感じがある。先の検察官は作戦開始から1年以上経った今も、「始まったばかり」と言い切る。汚職摘発は時間がかかるが、ここまできてまだ「コメッソ」だという事件は、一体どこまで広がるのか▼LJ第11弾はルーラ政権で騒がれたメンサロン同様に広報関係の企業が関与した汚職で、メンサロンに関与した企業や銀行が利用不能となった政治家が、不正な金を生む仕組みを新たに構築したのかと勘ぐりたくなる。メンサロン摘発後の議会は現在同様に連立与党内の勢力が分散し、議会工作が困難だったと聞く。現在はLJなどで議会での票の取りまとめ用の資金が不足し、政府が敗ける例が増えたと言ったら言い過ぎか▼次々に汚職摘発の報道が流れ、国際的な信用もがた落ちとなったブラジル。国民の人気を集めて選挙に勝つための電力料金値下げは電力高騰となってはね返り、財政調整の名の下での修正を余儀なくされている。汚職が発生する理由の特定や改善措置は、もっと複雑で時間がかかる。現政権はどこまでこの圧力に耐えられるか。(み)