連邦会計検査院(TCU)は15日、連邦政府が2014年に公的銀行から金を借り入れ、基礎的収支の数字を改善するための会計操作を行ったことは、財政責任法(LRF)違反との判断を下した。昨年の大統領選で最後まで戦った民主社会党(PSDB)のアエシオ・ネーヴェス上議はこれを、ジウマ大統領の罷免の理由にしようとしていると16、17日付伯字紙が報じている。
TCUは15日、満場一致で、連邦政府が昨年行った国庫への公的銀行からの借り入れ行為は「法的に問題あり」との判断を下した。
フォーリャ紙は昨年8月、連邦政府がボウサ・ファミリア、ミーニャ・カーザ、ミーニャ・ヴィダ、失業保険などの社会政策費の必要額を公的銀行に支払わず、公的銀行が自己資金で必要経費を払い出していたことは、政府への貸付にあたると疑問視する報道を行った。公的銀行が国庫に貸し付けることは財政責任法(LRF)で禁止されている。このような財政操作は、政府支出を一時的に抑え、基礎的収支が赤字となるのを避けるために行われた。
TCU内でこの件の報告官をつとめたジョゼ・ムーシオ氏は「明らかに違法だ。これではまるで政府が特別の口座を持っているみたいだ」とし、「債務者が払わなくて足りなくなった金を第3者が払っているようなもの」と語っている。
一方、国家弁護庁のルイス・イナシオ・アダムス長官は、「連邦貯蓄銀行(CAIXA)は2001年以降、政府の社会プログラムの資金を負担するシステムを採用している」から「貸付の事実はない」とした。また、ネルソン・バルボーザ企画相も「政策はあくまでLRFに則っており、財政検察庁からも保障されている」と反論した。
だが、TCU側は、連邦政府は(前記のような社会プログラムに関し)CAIXA、ブラジル銀行、社会開発銀行(BNDES)に少なくとも400億レアルの負債があるとしている。ムーシオ氏も「これはLRFの規制や限度を超えるものだ」と判断している。
この結果を受け、TCUは連邦政府の関係者17人に、30日以内に公的銀行からの貸付疑惑に関する事情説明を行うよう求めた。その中にはギド・マンテガ前財務相や中央銀行のアレッシャンドレ・トンビニ総裁の名も含まれている。
昨日付本紙で報じたように、PSDBはこの会計不正疑惑をジウマ大統領罷免の材料の一つにと考えている。アエシオ氏は「この不正に関する責任を追及しなくてはならない。財政操作が経済活動を規制するものか、あるいはそれ以上のものかを確認する必要がある」と語っている。