ホーム | 日系社会ニュース | 人文研=ロリータ・ファッション講演=「当地の愛好者は5千人」=松田明美さんが真髄語る
松田さん(右)と生徒のロリータ愛好家
松田さん(右)と生徒のロリータ愛好家

人文研=ロリータ・ファッション講演=「当地の愛好者は5千人」=松田明美さんが真髄語る

 「ブラジルのロリータ・ファッション愛好者は5千人」。当地では、そんな驚異的数字がささやかれるほど、日本ポップカルチャー(大衆文化、以下「Jポップ」)勢いを伸ばしている。

ロリータを熱く語る松田さん

ロリータを熱く語る松田さん

 ロリータ・ファッション(以下「ロリータ」)とはピンクや白を基調に、フリルやリボンで装飾したお姫様風ファッションのこと。80年代に生まれた文化でJポップの一角をなし、世界にも波及しつつある。
 16日夜、サンパウロ人文科学研究所主催の「コロニア今昔物語」で初めてJポップがテーマに取り上げられ、講師に日本ロリータ協会公認「ブラジルかわいい大使」の松田明美さんが招かれた。
 松田さんは日本で義務教育を受けた日系三世。本業は日本語教師だが、お茶会の開催などを通してロリータの普及に尽力する。「ロリータとカワイイ文化の発信」をテーマにロリータとの出会いや種類、「コスプレ」(アニメ・漫画の登場人物に扮すること)との違いなどを語り、24人が耳を傾けた。
 2003年に南大河州ポルト・アレグレ市であったアニメ系イベントで、ロリータに身を包んだ女性を見て「一目ぼれ」し、帰聖後すぐに生地を購入して服を作った。当時は「変な目で見られたり、男と思われたりすることもあった」と振り返る。「でもロリータは幸せになる鍵。この服を着ることで立ち居振る舞いや言葉遣いも変わる。生活そのものが変わる」とその真髄を熱く語った。
 彼女によれば、当地にロリータが普及し始めたのは約10年前。ドラえもんやキティ(猫のキャラクター)など、可愛いものを愛でる日本独特の「カワイイ文化」も浸透しつつあり、「今では『カワイイ』という単語は通訳がいらないくらい」と説明する。
 その文化に共鳴する女性の多くは非日系の若者だ。講演は日語のみだったにも関わらず、10人ほどの若い非日系が姿を見せ、「服はどこで手に入れるのか」などと質問していた。
 アニメなどの登場人物を真似る「コスプレ」でもなく、召使に扮する「メイド」でもないロリータ。女の子が一度は夢見るメルヘンの世界を大人になっても捨てないロリータ愛好者は、色気一辺倒のブラジルでも一人、また一人と増えつつあるようだ。