今年、パラナ州では日伯外交関係樹立120周年、日本人入植百周年、兵庫県との姉妹・友好提携45周年と三つの節目を祝う。その記念を兼ね、西森ルイス連邦下議が団長を務める「第42回パラナ日伯友好経済使節団」が7日~22日まで訪日し、日本各地で市長や知事らを表敬訪問した。一行は海苔工場などを視察し、経済交流活性化の可能性を探ったほか、井戸敏三県知事との間で今後の交流推進を期した声明への署名式も行い、関係深化に向けて両者、思いを新たにした。
「45周年への期待が高まっている」。神戸市で行われた歓迎会で16日、西森団長はそう確信を込めて本紙に語った。「昨年は住友ゴムのパラナ進出が実現し、今回も海苔工場建設が検討されることになった。今度はグローリー(本社姫路、金融機関向け機器の開発・販売)の工場を作って頂きたいという話もできた」と使節団の成果をアピールする。
パ州と兵庫県は1970年に友好提携を結んでおり、使節団の派遣はその3年後、73年に開始した。リオと神戸(69年)、マリンガと加古川(73年)、クリチーバと姫路、ロンドリーナと西宮(77年)、パラナグアと淡路(86年)も友好提携を結ぶなど両州県の結束は強く、西森団長は「ブラジルの中でも地域同士の緊密さはナンバーワン」と胸を張る。
今年の使節団には同州の市長や経済人、パ州120周年記念事業実行委員会の山脇ジョルジ委員長、兵庫県ブラジル事務所の山下亮所長ら26人が参加した。
歓迎会で挨拶に立った井戸敏三県知事は、「長年の 交流重ねて協定を 結びし今日から さらに進む」との即興歌で活発な交流を喜んだ。また本紙の取材に対し、「大きな経済圏である中南米に関心を持つ企業は多いので積極的に進めていきたい」と前向きな姿勢を見せ、「こうした交流は先人の努力の上に成り立っている」と先駆者に敬意を示した。
また日系の参加者からは「海外移住と文化の交流センター」見学に対する喜びの声も聞かれた。遠藤エウリコ・コーイチさん(55、三世)=パラナグア市=は「祖父母がここを通ってブラジルに行ったと思うと感動した。『ただいま、帰ってきましたよ』と言う気持ちになった」と感慨深げに語った。
三野哲治日伯協会理事長(住友ゴム工業取締役会長)は閉会の挨拶で、「パラナに工場を進出し2年前から操業開始したが大変順調。インフラもすばらしいし労働の質も大変高く、出てよかった。これから進出される方には自信を持ってお勧めしたい」と話した。
8月には井戸知事をはじめとする県の訪問団が、同州を訪れる予定。
【大耳小耳コラム】
姉妹提携45周年を迎えた兵庫県とパラナ州。新たな工場進出の可能性も検討されており、交流がますます活発化している。井戸敏三兵庫県知事も度々当地を訪れており、10年前の誕生日(8月10日)には還暦をクリチーバ文協で迎え、「『着ない』と言い張っていた赤いチャンチャンコを、結局は着せられたのが良い思い出」と笑う。人との信頼関係ありきのブラジル・ビジネスには、そんな温かい人間関係の構築が欠かせない。45年の粘り強い堅実な取り組みが、今実ろうとしているようだ。