日本にも「悋気嫉妬は女の常」という言葉はあるが、ブラジル人女性のそれは特にすさまじい。当地の女性と付き合ったことがある男性陣は、きっと賛同する違いない▼コラム子の風貌は平均的日本人だが、家人とスーパーで買い物中、コラム子を品定めしていたらしき男性の若い恋人から睨みつけられたことがある。「そりゃ睨む相手が違うだろう」と思っても無駄である。彼女にとって恋人の注意を引く女性こそ敵なのだ▼先日、日本式ファッションの普及を目指す伯J―ファッション協会の会長から、「会員同士の嫉妬がひどくて、会が中々まとまらない」とのぼやきを聞いた。お互い切磋琢磨するより他を引きずりおろせ―という発想。同会長によれば、自分より見栄えのよさそうな女性を見た時に、ブラジル人女性がまず抱く感情は嫉妬だそう▼知り合いのロリータ・ファッション(フリルたっぷりのお姫様スタイル)愛好家などは、〃同業者〃からネットに悪評を流される嫌がらせを受けたとか。そうした行為がすでに「美しくない」のだという美学を説いた所で、ジェラシーに燃える彼女たちには通じない。女性は虚栄心が強い生き物だが、それで心の平穏を乱すのは程々にしたいもの▼勿論、日本にも嫉妬はある。ただし、日本人には嫉妬心を醜いと思う感性や、相手を貶めたいと思う卑屈さを恥じる奥ゆかしさがある。「悋気嫉妬は女の常」は世界共通かもしれないが、表面化の仕方は様々だ▼とはいえ、「悋気は女の七つ道具」とも言うように、多少の嫉妬は女を美しくもする。「女房は化粧のひとつもしない」と不平をこぼしている男性は、夫人の嫉妬心をくすぐるのも一手だ。(阿)