医療機器電子メーカー「ブラジル日本光電」(栗田秀一社長)がサンパウロ市文協ビルへ同社製AED(自動体外式除細動器)を寄贈するにあたり、13日に同ビルエレベーターホールで寄贈式が執り行われた。同社からは栗田社長、セルジオ・メデイホス営業マネージャー、文協からは呉屋春美会長が出席した。
昨年9月に日本光電本社の鈴木文雄社長がブラジルの経済状況視察のため来伯し、文協移民史料館を訪れた際に移民たちの功績に感銘を受けたことで、日系社会への貢献としてAEDの寄贈が決まった。文協の他、サンパウロ市のサンタクルス病院にも寄贈された。
AEDとは、心停止状態の際に自動的に解析を行い、必要に応じて電気ショックで心肺蘇生を試みる機器で、日本やブラジルでは医師免許を持たない一般人でも使用が許可されている。
ブラジルにおけるAEDの設置状況について、栗田社長は「スーパーマーケットや駅などではある程度普及しているが、使用方法や存在すら知らない人も多い。設置側の必要物としての認識も甘く、目立った場所に置くことが少ない」と説明した。
同日、文協職員に対して同社社員によるAED使用の講習会も行われ、約10人が参加した。松本フェリッペさん(24、三世)は「大勢が集まる文協のような場所には必要なものだと思う。いざという時のために準備ができてよかった」と話した。
栗田社長は「今後も講習会などを通して、ブラジル全体にその必要性について呼びかけていきたい」とAED普及に意欲を見せた。