地理統計院(IBGE)は29日、第1四半期の国内総生産(GDP)は前期比0・2%のマイナス成長となったことを明らかにした。今後も急激な経済成長は見込めず、苦しい状況が続いている。29日付伯字紙サイトが報じている。
第1四半期でプラスだったのは農業生産の4・7%で、レアル安で輸出が7%、輸入も2%増加した。農業生産は10%以上の収量増加を記録した大豆の好収穫の影響が大きく、輸出入はレアル安の後押しを受けた形だ。昨年同期比でのGDPは1・6%減だが、農業生産は、大豆や米の収量増加などで4%増となった。
だが、GDPの60%以上を占めるサービス部門が前期比0・7%、昨年同期比1・2%のマイナスだったほか、工業部門が0・3%減(昨年同期比では3%)、家庭消費も1・5%減となったのが響いた。
IBGEコーディネーターのレベッカ・パリス氏は、「水不足による火力発電多用が生産活動に影響した」と分析した上で、自動車業界などの製造業の不調が工業部門の足を引っ張り、重機器やトラックなどの買い控えが投資の縮小を招いたとコメントした。
ブラジルのGDPを引き上げる役目を果たしてきた家庭消費は、アメリカのリーマン・ショックの影響を受けた2008年第4四半期以来の大幅減となった。年間の累積インフレ率が8%を超えていることや、融資枠、雇用や所得の縮小が家庭消費の低下を招いた。
また、政府支出と投資も共に1・3%減だが、投資は7期連続の減少で、経済回復への期待感が高まらない状況が続いている。
経済活動が低迷しているため、第1四半期の基礎的収支の黒字額は過去17年で最悪の44億8千万レアルであったことは4月末に発表された。政府が目標としている年間黒字額は「GDPの1・2%」だが、現状では目標額の663億レアルに到達するにはかなり苦しい。4月の基礎的収支黒字額は100億レアルに増えたが、前年同月より40%少ない。
唯一の明るい希望は、今回のマイナス0・2%という数字が、中央銀行が事前に出した「0・81%のマイナス」という予想値を上回ったことだけだ。25日に発表された、中銀が行う金融市場関係者による最新の景況予想では、今年の年間GDPは1・24%のマイナスとなっている。
連邦政府としては、財政調整法案が議会の造反に遭って遅れたことも基礎的収支の黒字目標達成を困難にしかねない材料だが、6月1日に期限切れといわれた暫定令(MP)664、665、668号は上院も26~28日に承認し、大統領裁可待ちとなっている。