デング熱予防の切り札として期待される予防接種2種は、商用許可後も適用対象が限られ、死亡率の高い60歳以上の人は当面、感染回避の方法を持てないと2日付エスタード紙が報じた。
デング熱の予防接種ワクチンは、フランスのサノフィ・パスツールのものとサンパウロ市のブタンタン研究所のものが、最も実用に近いとされている。
サノフィのワクチンは15カ国で行った2~16歳の被験者4万人へのテストで、感染は60・8%、重度の患者発生率は95・5%低減との結果を得た。ブラジルでも3月に国家衛生監督庁(Anvisa)が結果を承認しており、8月には商用許可も出る見込みだが、同ワクチンは当面、2~16歳への適用が原則となる可能性が高い。
一方、ブタンタン研究所のワクチンは、2~59歳、1万7千人を対象とするテストを申請しており、許可が出次第、試用を開始する。テスト開始は8月と見られ、良い結果が得られれば、2016年には医薬品として登録される見込みだ。
問題となるのは、当面は、どちらのワクチンも重症化しやすい高齢者や幼児、慢性病患者らをカバーできない点だ。
ブタンタン研究所がワクチンの試用対象を2~59歳としたのは、高齢者や幼児、慢性病患者らは免疫能力や体力などに不安があるためで、これらのグループの人への接種テストは2~59歳の人での効果確認後だ。
5月9日までの統計では、全国の死者290人中、約60%に当たる172人は人口の11%しかいない60歳以上の人だ。これからいけば、少なくともワクチンの商用認可直後は、リスクの高い高齢者らは接種の対象外とされる事になる。
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