ホーム | 日系社会ニュース | 地方団体があげる苦悩の声=第1回日系連合会の集い=(下)=会館改築、健康保険で工夫、=「地方が強くなれば中央も」

地方団体があげる苦悩の声=第1回日系連合会の集い=(下)=会館改築、健康保険で工夫、=「地方が強くなれば中央も」

 山村敏明会長はバーレ・ド・リベイラ連合会について「百周年を機に連合会が生まれ、8文協が資金を協力しあって毎年どこかの会館の改修をしている。まずは家(会館)を立派にして会員を集める」方針だと説明した。09年から会長を兼任する聖南西連合会では年5回の持ち回りの会合に約40人が参加し、「とても団結が強い。今100万レアル基金が半分まで貯まった」との現状を報告した。
 汎パウリスタ連合会の真木勝英会長(バストス文協会長)は、当日の午前3時半に自宅を出てマリリアから飛行機で参加、「14団体が傘下にあるが日本語学校は4校しかない。日本文化継承にみな努力しているが、日本語教育に一番苦心している」と訴えた。
 バストス文協には500家族もの会員がいるが、会費だけでは運営できない。「たまご祭り」に協力して利益の1割をもらい、年間活動費に充てている。日本語学校は同祭りに父兄がオムレツ屋台を出して、経費を稼いでいるという。
 ノロエステ連合の白石一資会長も「このような集いを待っていた。地方には共通した問題が多い。ノロエステ一番の問題は日本語教育。日系社会の基盤は日本語。200年経っても日本語で話せるようにするには、どうしたらいいか」と呼びかけた。
 加えて白石会長は「アラサツーバ文協はサンタカーザ病院と提携し、月180レアルで年齢制限なしのプラノ・デ・サウーデ(健康保険)に加入でき、年寄りに感謝されている。このおかげで文協の会員が増えた。同じ様な病院との提携を各地で試みられることをお勧めする」との貴重な情報をもたらした。
 汎ソロ日伯連合文化協会の纐纈俊夫会長も「各地での試行錯誤の成果が聞けて実に実りのある集いだった。ただし、地方文協の会員減の問題は深刻だ。どうやって解決するか、策は見つかっていない。文協の目的はヤキソバやって金を稼ぐことではない。日本文化を継承するだけでなく、一般社会に日本文化を広めることに活動の比重を高める必要がある。だからこそ、山村さんの呼びかけは意味がある。地方文協の存在の重要さをもっと主張し、総領事館や大使館もそれを理解してほしい」と熱く語った。
 さらに「地方が団結して中央に協力していくというアイデアが面白い。地方が強くなれば中央も強くなる」と締めた。
 小川彰夫日系ウェブ代表は「〃日系コロニアは消滅する〃という言説が、サンパウロの文協のシンポジウムなどで言われてきたが、そんなことはない。地方が手を取り合ってそれを示さなければ」と呼びかけた。
 今回は互いの紹介と意見の交換、問題意識の共有が中心の集いとなり、決議文の作成は行われなかった。山村会長は「地方が強くなれば、中央も強くなる。忘年会を兼ねて年末にもう一度集まるつもり」との予定をさっそく練っている。(終わり、深沢正雪記者)


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 小川彰夫さんは日系連合会の集いの中で、ブラジル社会における重要な日本文化の重要性の一例をこう訴えた。「たくさんのイベントに参加している歌手の平田ジョーが言っていたが、一般のイベントでは必ずと言っていいほど起きる暴力事件が日系イベントにはない。家族が安心して参加できる。その何気ないすごさが、ブラジル社会から称賛されている」。さらに「日本語学校は単なる語学校でなく、日本文化を伝える重要なシステム」と日語教育関係者だけでなく、日系団体役員の認識が重要だとも。白石会長も言う通り、日本語学校は日系社会の〃足腰〃であり、そこが踏ん張ることで移民200年につながるのだろう。