ブラジルの失業率の上昇はすべての世代に影響しているが、とりわけ18歳から24歳までの年齢層への影響が大きい。これは最近まで失業増の影響が少なかった大卒者層も例外ではない。
連邦政府の学生融資基金(Fies)などで高等教育を受けるのが容易になったこともあり、年間の大卒者数は最近の10年で、52万8千人から83万人に増えた。しかし、その一部は労働市場に急速に広がっている就職難に直面している。専門家は、近年の不況のため、今の大卒年齢層は従来以上に不利な状況にあるとしている。
「去年の6月に大学を卒業した。企業が私に成長の機会を与えてくれると思っていたけれど、そうはならなかった」―。そう語るのは、ペルナンブーコ州オリンダ市のオリンダ・コミュニケーション・技術・観光大学(Facottur)、人材管理学部卒のマテウス・デ・オリベイラ(21)さんだ。オリベイラさんはオリンダ市に母と妹の3人で住んでいる。3人は母親が高齢者介護で稼ぐ最低賃金と別れた父の払う養育費で辛うじて生計を立てており、クレジットカードの返済を含む必要を満たすために職を探しているが「絶望的」で、オリベイラさんは「仕事さえあればショッピングセンターの販売員でも何でもいい」と語っている。
ジェトゥリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)のロドリゴ・レアンドロ・モウラ教授兼調査員によると、失業率は全ての年齢層で増加しているが、若年層が一番不利な状況に置かれている。
モウラ氏は「若年層は多くの場合、まだ学業の途中で、就業経験に乏しく、生産性が低い。景気後退の際には生産性の低い層から切られていくのは自明だ」と語った。青年の失業率は16%で、大卒者も14・6%が就職難に直面している。
「サンパウロ州や他の州にも毎日、履歴書を50~60送ったけれど、私の専攻分野での仕事は、ぜんぜん見つからない」と嘆くのは、昨年末にサントアンドレ財団の環境工学部を卒業したニコーレ・ペルベッリさん(22・サントアンドレ市在)だ。「もう少し何とかなると思っていたけれど、企業はどこも経験者を採用したがるし、不況で一層厳しくなった」と言うペルベッリさんは、両親に負担をかけずに暮らせるだけの収入が得られる職をと望んでいる。