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エルニーニョの影響は?=09/10年程強くなさそう

 今年のエルニーニョは比較的穏やかとの予想が出ており、大半の農家が胸をなでおろしている。
 エルニーニョは太平洋の海水温が上がり、洋上の風の通路や各地の降水量、気温などに影響を及ぼす気象現象で、比較的影響が強かった2009/10年は、ブラジル南部や南東部で米などの収量が落ちる原因となり、農家の頭痛の種となっていた。
 南米でのエルニーニョの影響は、太平洋中央部やアジア地区ほど強くないと予想されているが、それでも専門家は、南部には例年より多い雨を降らせ、北部や北東部は少雨、干ばつを招く可能性が強く、南東部や中西部では気温上昇が起きると見ている。
 国立宇宙調査研究所(Inpe)気象観測センター(Cptec)によると、南部の広い地域やサンパウロ州西部、マット・グロッソ州の大部分は6~8月に平年以上の雨を見ると予想している。この秋が湿潤である事は実感されており、トウモロコシや小麦、カラス麦、サトウキビ、カフェの生育には好影響が出ると見られている。
 ただ、収穫期となる冬の終わりに雨が多くなると、収穫できる日数が減る、カフェの実を乾かすのが困難になる、サトウキビの糖度が落ちるなどの悪影響も出かねないため、雨の量と降る時期が気になるところだ。
 サトウキビ生産の9割を占める中西部では5月の降水量が平年より30~40%多かったため、サンパウロ州西部を含む地域のサトウキビ栽培農家が気をもんでいる。
 サンパウロ州やミナス・ジェライス州のカフェ栽培者達も、カフェの実の乾燥度を今から気にしている。
 クリマテンポの予報官のアレッシャンドレ・ナシメント氏は、「今年のエルニーニョは穏やかだが、それでも、春から夏の気温が平年を上回るといった影響は来年まで続くはずだ」という。
 だが、Esalqのパウロ・セーザル・センテーリャ氏やソマールのセウソ・オリヴェイラ氏は、エルニーニョの影響は夏の作物の作付けが始まる春位までで、夏の作物の収穫を脅かす可能性はないと見ている。
 降水量の変化はエネルギー部門でも気になるところだが、今回のエルニーニョは穏やかで期間も短いと予想され、雨が多いのは水力発電所の貯水量が全国の7%程度の南部中心と見られているため、エネルギー部門での恩恵は少ないとの見方が強いようだ。(6日付エスタード紙などより)