ポルトガル政府は11日、国営航空会社TAPの株式の61%をアズル航空オーナーのデヴィッド・ニールマン氏に売却すると発表した。この取引は、非欧州人が欧州系航空会社の保持を禁ずる欧州当局からの承認待ちだが、認められれば、ポルトガル政府はTAM社民営化で1千万ユーロを受け取ることになると12日付伯字紙が報じた。
ニールマン氏とパートナーのポルトガル人富豪のウンベルト・ペドローザ氏は、TAP社が抱える総額10億ユーロ(35億レアル)の債務を引き受け、少なくとも3億3800万ユーロ(12億レアル)の資本を投下することと、53機の新しい航空機を購入して同社の設備を近代化することを約束した。
残りの株式39%は、政府が34%、労働者が5%を保持する。
TAPの取得のために作られた合弁会社の株式は、50・1%をペドローザ氏が、49・9%をニールマン氏所有のDGN社が保持する。ニールマン氏は、DGN社の投資家の名前を明らかにしなかった。
ニールマン氏はブラジル生まれの米国人で、アビアンカ航空の所有者であるブラジル人のジェルマン・エフロモビッチ氏とTAP社買収を巡って争った。エフロモビッチ氏は2年前、TAP社の民営化プロセス開始時に入札オファーを出したが、その後、担保の不足を理由にポルトガル政府によって拒否されていた。
伯字紙の調べでは、アズル航空の少数株主は、多額の負債を抱えるTAP社の買収はリスクが大きく、さらに、アズル航空の株式公開を難しくさせるとして、TAP社買収に反対していた。
ニールマン氏はアズル社従業員に向け、「TAP社買収へのプロセスに参加しているのは私個人であって、アズル社ではないということをはっきりさせておきたい」との文書を発行し、TAP社経営への参画を明確にした。
TAP社買収はアズル社によっては行われていないが、両社が共通の経営者によって運営されることで、両社は今後、協力体制をとると見られている。
TAP社が乗り入れているブラジル内の空港にはアズル社も乗り入れており、両社はすでに、両社の乗り継ぎ便の乗客は1回のチェックインで荷物の受け渡しができるよう、契約を結んでいる。