【既報関連】連邦会計検査院(TCU)は17日、14年度の連邦政府の粉飾会計疑惑に関する審理を行い、ジウマ大統領に事情説明を求めるために最終判断を30日間先延ばしした。17日付伯字紙が報じている。
TCUは当初、公的銀行が立て替えた経費の支払いの遅れを意味するペダーラ・フィスカル(粉飾会計)を含む、14年度の会計報告に対する審理を17日に終える予定だったが、16日に「ジウマ大統領から事情説明を受けて判断すべき」との声があがり、審理延期の機運が高まった。
これを受け、報告官のアウグスト・ナルデス委員が17日、「行政府に弁護の機会を与える」ために審理を延期すると発表した。ジウマ大統領は30日間のうちに、粉飾会計に関する説明を行わなければならない。
17日付エスタード紙によると、連邦政府は16日、アロイージオ・メルカダンテ官房長官やネルソン・バルボーザ企画相、ルイス・イナシオ・アダムス国家総弁護庁長官を動員し、TCUが14年度の会計報告を否認しないよう、説得行為を行わせたという。
TCUの委員の大半は連邦政府や議会が指名しており、州レベルでは釈明の機会を与えた例があることと、政治的な判断が審理延期につながったようだ。TCU内には、政府会計を違法とすればブラジルが発表する経済指標などへの国際的な信用が落ち、ただでさえ落ちている国外投資や国債の信用格付がさらに落ちると懸念する人もいる。
連邦政府は、違反判決がでたときのアエシオ・ネーヴェス上議(民主社会党・PSDB)らの動きも恐れている。昨年の大統領選は接戦で破れた同上議を筆頭とする野党は、この件を理由にジウマ大統領罷免案を提出する可能性があるからだ。
ただ、政府にとって楽観できない要素は残っている。報告官のナルデス委員は、会計報告を是認しない意向を示しているためだ。同氏によれば、連邦政府は国庫資金がないと知りつつ、公共銀行が自己資金を使って社会政策関連の経費を払うことを認めた上、議会の承認なしに貸付を受けることを認める大統領令3件で、2560億レアルの負債を生じさせた。
連邦政府が財政責任法(LFR)に則った財政運営を行っていたかの最終判断は議会が行うが、現在の議会はTCUの報告を無視し、02年からは連邦政府会計に関する審議を行っていない。
TCUは4月に公的銀行への支払いを遅らせた粉飾会計を違法と判断しており、責任者を追及している。連邦政府内ではその責任をギド・マンテガ前財務相とアルノ・アウグスチン前財務局長に帰す動きが強まり、両氏が処罰される可能性がでてきている。