リオ市西部のヴィラ・アウトドロモに住むルイス・ジェラウド・ドス・サントスさん(52)は12日から、半分だけになった家に住んでいる。というのも、同日朝、いつも通り仕事に出かけたが、帰ってきたら家が半分になっていたのだ。
ヴィラ・アウトドロモはオリンピック公園建設予定地で、市役所が買い上げた土地に建っている家を取り壊そうとする業者や市警備隊員と、地区住民の抗争事件なども起きている。
ルイスさんの家は離婚した奥さんとの共同名義で、奥さんが自分の分として半分を市に売り払ったため、半分だけが取り壊されてしまった。隣人によれば、寝室も台所も文字通り半分となったが、トイレだけは無傷だったため、ルイスさんと娘、孫の3人が残ったスペースを分け合って暮らしているという。
英国の新聞によれば、ルイスさんは市役所が提供した賠償金支払いの提案を呑んだというが、実際の支払いがいつ行われるかは不明で、アパート提供となる可能性もあるようだ。
ルイスさんの隣人のアダイーザ・ドス・サントスさん(30)は5年前にバイア州から来て、2階建ての家屋の2階部分に住んでいる。アダイーザさんの場合も階下の住民が買収に応じる意向であるため、市役所がどんな対応をするかが不安でしょうがない。今いる場所以外、行く所はないというアダイーザさんは、「次は自分もと恐れつつ暮らしている」という。
同地区の住民の多くは、「最近は電気や水道が理由もなく何日間も止まるといった不可解な出来事も続いており、市役所が立ち退くよう圧力をかけていると感じている」という。
ヴィラ・アウトドロモには約600人が住んでおり、市役所が土地の買収を急いでいる。オリンピック公園では16年、テニスやホッケー、自転車競技、体操、水泳などの競技が行われる。(13日付フォーリャ紙などより)