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18日にブラジリアで年金関連法について説明する(左から)バルボーザ企画相、ガバス社福相、レヴィ財相(Lula Marques/Agência PT)
18日にブラジリアで年金関連法について説明する(左から)バルボーザ企画相、ガバス社福相、レヴィ財相(Lula Marques/Agência PT)

ジウマ大統領が拒否権行使=年金関連法で苦渋の決断=中央労組の反発は必至も=不可避の緊縮財政への道

 ジウマ大統領は17日、財政調整のための暫定令(MP)664の修正案で、上下両院でも承認された、年金受給に関する「85/95案」に対し、拒否権を行使することを決めたと18日付伯字各紙が報じている。

 この決定は、上下両院議長と中央労組に対して事前に知らせた上で発表された。拒否権行使は17日午後7時40分、連邦共和国大統領府の名において、文書で公式に発表された。
 同文章で大統領は「わが国の社会保障システムの永続性を確固たるものにするため、年金満額受給に必要な年金支払い年数と年齢を足した数を、平均余命に基づき、年毎に増やしていくという改正を行う」と発表し、MP676として17日付の官報にも掲載した。
 新しい改正案では、暫定令664の修正で加わった「85/95案」(年齢と年金支払い年数の合計が、女性は85、男性は95になれば年金を満額受給できるとする案)の数値が、17年と19年の1月、それ以後は1年ごとに女性は85から86、87、男性は95、96、97のように一つずつ増え、22年には女性90、男性100になるようにする。
 フォーリャ紙の明らかにしたところによると、ジウマ大統領本人は労組や、議会の反発を避けるため、「85/95案」を承認する意思だったが、側近達はそれは不可能だと説き、それを受けてジウマ大統領は拒否権行使を決断した。
 年金満額受給のために必要な、年金支払い年数と年齢を足した数を1年ごとに増やす案は対立を引き起こした。経済政策チームはその数値を1年ごとに増やすことを提唱したのに対し、中央労組は3年おきを主張していたが、主要閣僚による会合では最終的に、2年おきに2回増やした後は1年ごとに増やす案が支持された。
 ブラジル一般労働組合(UGT)とブラジル労組センター(CSB)は、今回の拒否権行使は労働者への不利益をもたらすものだと発表し、この決定を覆させるために議員達への働きかけを強めると表明した。
 新たに出たMP67の詳細は、18日の記者会見で、カルロス・ガバス社会福祉相とジョアキン・レヴィ財相、ネルソン・バルボーザ企画・予算管理相が説明した。