ホーム | コラム | 樹海 | ギリシャとブラジルの相似点とは

ギリシャとブラジルの相似点とは

ギリシャの壮麗なアクロポリス

ギリシャの壮麗なアクロポリス

 粉飾会計が大問題になっている。公的銀行に生活扶助などの政府支出を立て替えさせ、それを国の会計に負債として計上しないことで収支を良く見せる操作だ。なぜ粉飾が必要かと言えば、収入以上の支出をしたからだ。年金改正もしかり。議会案承認なら数年後には出費が増大するので、基礎的収支を好転させたい大統領には拒否権行使しかなかった▼ギリシャとブラジルは似ていると疑っていたが、最近の報道で確信を深めた。ギリシャ危機の発端は09年、国内総生産比の財政赤字が3・7%ではなく実は13・6%と発覚したことだった。つまり粉飾会計だ▼本来ギリシャはユーロ加盟条件を満たせないのに、米投資銀行ゴールドマン・サックスが債務証券化技法を駆使して通過させた。02年からユーロを流通させ始め、その信用で多額の国債発行が可能になり、04年アテネ五輪では豪華施設を多額の借金で建設し、財政悪化させた▼同じ頃、同じ投資銀行が名付けたBRICsとのレッテルでブラジルは注目され始め、W杯、五輪と過剰投資を続けて粉飾会計問題に▼ギリシャの財政赤字増大の原因は「公務員数の増加」「公務員給与の高さ」「公務員や民間の給与伸び率の高さ」「労働組合の強さ」「年金制度の手厚さ」「脱税の横行」だとか。どこかの国に良く似ている。ブラジルの大臣は02年に24人だったが現在39人! それに伴い公務員や政府支出も激増。ペトロブラス疑惑のように汚職も事欠かない▼ギリシャは30日にIMF融資16億ユーロの返済期限を迎える。債務不履行になる可能性が高く、ヘッジファンドは身構えているとか。ブラジルが二の舞にならないことを祈る。(深)