ホーム | 特集 | 認知症に効くって本当?=ヴァージン・ココナッツオイル=大匙2杯で症状が改善=日本のメディアも注目=老化防止、糖尿病にも
聖市ラッパ区の自然食品店「A Natureza」(住所=Rua Joaquim Machado, 147、電話=11・3862・2412)で見つけたココナッツオイル。同店スタッフによれば、「COPRA」が「国内一のココナッツオイルメーカー」だそうだ。500mlで49・9レアル。ミニサイズやオルガニコのものもある
聖市ラッパ区の自然食品店「A Natureza」(住所=Rua Joaquim Machado, 147、電話=11・3862・2412)で見つけたココナッツオイル。同店スタッフによれば、「COPRA」が「国内一のココナッツオイルメーカー」だそうだ。500mlで49・9レアル。ミニサイズやオルガニコのものもある

認知症に効くって本当?=ヴァージン・ココナッツオイル=大匙2杯で症状が改善=日本のメディアも注目=老化防止、糖尿病にも

ココナッツ

ココナッツ

 飲んでよし、食べてよし、肌や髪に塗ってよし。ブラジルではごく身近な食材の一つココナッツは、〃生命の木〃と呼ばれるほど栄養素がバランスよく含まれ、美容や健康に優れた効果を発揮する。特にこの果肉から搾り取ったオイルはダイエットから老化防止、免疫力向上、甲状腺機能改善と効能は数多く、アルツハイマー病予防にまで効くという説もある。日本でもNHK「あさイチ」やTBSの番組「世界ふしぎ発見」で特集され、番組終了後はスーパーで商品が売り切れる反響があったとか。認知症に効くという噂の真偽は? その働きと主な効能を紹介する。

 ココナッツオイルの効能について調べると、
―便秘や慢性疲労改善
―高血圧や心臓病予防
―免疫力アップ
―甲状腺機能改善
―糖尿病、ガン予防
―老化防止
―アルツハイマー予防
―日焼け止め
―髪や肌の保湿
と多種多彩な効能がリストに挙がる。
 同オイルには精製、未精製の2種類があるが、良いとされるのは後者の未精製の方だ。ほのかにココナッツの甘い香りが残る生絞りの「ヴァージン・ココナッツオイル」は防腐剤など化学物質が無添加で、抗酸化作用の強いビタミンE、ミネラルなど栄養成分が凝縮されている。
 「でも、油だから体に悪いのでは?」という声も聞こえてきそうだが、10年以上前から患者に同オイルの利用を勧めているウィルソン・ロンドー・ジュニオル医師(栄養医学専門家)は、「油だから太るとか、コレステロールを上げるとか言う人が多いが、それは嘘」と諭す。
 ココナッツオイルの成分で悪の槍玉に上げられるのが「飽和脂肪酸」。三大栄養素の一つ「脂肪」の一種で、通常はラードなど動物性の脂に多く含まれる。これが心臓病や肥満を引き起こすと一般的に信じられているが、同医師は著書『Óleo de Coco A Gordura Saudável』(ガイア出版)で「太平洋諸島の住民は30~60%のカロリーをココナッツオイルから取っているが、心臓病患者は極めてわずか」とそれを否定する。そればかりか同オイルはコレステロール値を調整し、ビタミン吸収を助け、代謝を促進し、肝臓病を予防するなど、様々な働きをすると説明する。
 ココナッツオイルはその約半分が体脂肪になりにくい「中鎖脂肪酸」の一種で、母乳の成分でもある「ラウリン酸」でできている。これはキャノーラ油など一般的な植物油に含まれる「長鎖脂肪酸」と比べて半分の長さしかないため、「油は消化吸収が悪い」というイメージとは対照的に分解が速く、細胞に素早くエネルギーとして供給される。また、中鎖脂肪酸はブドウ糖や長鎖脂肪酸と違って吸収にインスリンを必要としないので、糖尿病患者のエネルギー源としても優れているほか、最近の研究では同病の原因となる「インスリン抵抗性」を改善することもわかってきている。
 こうした特徴から、中鎖脂肪酸100%の「MCTオイル」は40年以上に渡り、医療や介護現場、スポーツ分野や未熟児の栄養補給など、様々な場面で応用されてきた。それが自然な形で存在するのがココナッツオイルなのだ。

アルツハイマー予防にも

 同オイルがアルツハイマー型認知症予防に効くと主張するのは、米国オハイオ州出身のメアリー・T・ニューポート医師。55歳で若年性アルツハイマーの診断を受けた夫の治療法を模索する中、毎朝大匙2杯分(35グラム)のオイルをオートミールに混ぜて食べさせたところ、夫の表情が豊かになり口数が増え、記憶が回復することを見出した(著書『アルツハイマー病が劇的に改善した!』、2013年、クリエイティブ出版)。
 このタイプの認知症は、脳が栄養源となるブドウ糖を利用できずに脳細胞が損傷して発症する。ところがココナッツオイルに含まれる中鎖脂肪酸は、ブドウ糖に代わって脳が利用できる「ケトン体」という物質に変換されるため、脳細胞にエネルギーを供給でき、細胞の死滅を食い止めることができるという。
 まだ科学的根拠は不十分のようだが、メアリー医師の論文は大反響を呼び、同医師の元には実際にココナッツオイル療法を試した患者家族から多くの喜びの声が寄せられた。

正しいオイルの選び方

自身もココナッツオイルを食生活に取り入れているというロンドー医師。認知症を患っていなくても、「飲むと違いを感じる」そうだ。クリニックの住所はRua Bandeira Paulista, 600, cj. 14, Itaim Bibi, São Paulo、電話は11・3167・0128

自身もココナッツオイルを食生活に取り入れているというロンドー医師。認知症を患っていなくても、「飲むと違いを感じる」そうだ。クリニックの住所はRua Bandeira Paulista, 600, cj. 14, Itaim Bibi, São Paulo、電話は11・3167・0128

 加熱・脱臭・漂白処理されていない、圧搾式で絞り取られた未精製の『Extra Virgem』を選ぶこと。ただし、ロンドー医師によれば「他の植物油と混ぜてあるのに100%ココナッツオイルを謳う〃海賊版〃も多い」そうなので、注意が必要だ。不安な人は信頼できる医師に相談するか、近々同医師がサイト(www.drrondo.com)で公開する電子書籍(e-books)にある、信頼できるメーカーリストを参照のこと。