下院が6月30日、凶悪犯罪に限り、刑事責任を問う年齢を18歳から16歳に引き下げる憲法改正案(PEC171)の審議を行ったと7月1日付伯字紙が報じた。
同法案は、対象となる犯罪を強姦、強盗殺人、小児および青年の売春、麻薬密売、拷問やテロ、故意の殺人、集団や火器を伴う窃盗・強盗、重度の傷害、傷害致死と定義している。
ジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾ法相は同日、同法案を承認すれば刑務所の収監者が年4万人ずつ増え、刑務所制度に「原爆級の衝撃」が出る上、他の法案の変更につながる可能性もあると指摘した。「別の法律の変更も必至だ。例えば車の運転を認められている人は当然、事故を起こした場合に責任を負わなければならない。もし16歳から刑事責任を負うのであれば、免許取得や酒の購入でも新しい法律が必要になる」と述べた。
エドゥアルド・クーニャ下院議長(民主運動党・PMDB)は、同法相の発言は、人を欺こうとする試みで、飲酒可能な年齢と運転できる年齢のことは、重犯罪を裁く基準とは無関係だと反論した。
与党のPMDB、および民主社会党(PSDB)などの主要野党は、PEC171を承認することで合意していた。
今回の審議は、同法案に賛成、反対、双方の立場からのデモを誘発した。賛成派は「(18歳未満でも)重犯罪者は刑務所に行け」と叫び、反対派は「引き下げ反対。(若者の犯罪を防ぐためなら)保健と教育を保障しろ」と叫んだ。
審議開始前から議場内外で口論や衝突が起きたため、クーニャ下院議長が議会の秩序を守るためとして、審議傍聴の人数を200人に制限した。全国学生連合(UNE)をはじめとする学生達は連邦最高裁から本会議場に入る許可を得ていたと主張したが、クーニャ議長は、最高裁の許可証は議会の中を移動するためのもので傍聴は整理番号取得者のみとしたため、抗議の声も上がった。
下院での審議は6月30日夜始まった。承認のためには、定数513の60%である308票以上の賛成が2回必要だったが、7月1日未明に終わった採決の結果は、賛成303、反対184、棄権3、欠席23で否決された。クーニャ下院議長は法案を再検討するとしている。