ブラジル政府は6日、企業が従業員に対し、仕事量を減らす代わりに賃金を最大30%まで削減することができるとする暫定令(MP)680号・雇用保護プログラム(PPE)を作成し、ジウマ大統領が署名、7日付官報に掲載したと7日付伯字紙が報じた。
同MPは労働者の賃金を最大6カ月(その後6カ月延長可能)にわたり30%カットし、減額分の半分の15%をFAT(労働者支援基金)から補填する(ただし、上限は900・84レ)というものだ。7日の公布から暫定的に有効となったが、年内の議会の承認が必要となる。
PPEは工業界を中心に起きている解雇の抑制を目的としているが、全ての産業部門の企業が参加できるかは決まっておらず、対象となる部門は15日以内に発表される。またPPEへの参加を希望する企業は、今年12月までに決断を下す必要がある。
労働者が所属する会社が参加を決定すると、月給6千レまでの労働者の月給は実質15%の減給となるが、それ以上、例えば月給7000レの労働者は3割減の4900レに900・84レを足して5800・84レとなり、減給率は17・13%となる。労働者は減給を義務的に受け入れなければならない。
PPEを利用する企業は、労組と政府に経済危機による困窮である事を証明しなくてはならず、経営の失敗による損失補填としては使えない。
企業はPPEに参加している間は従業員を解雇することはできず、終了後も、減給期間の3分の1にあたる期間にわたって解雇できない。減給期間が1年だった場合は、その後4カ月は解雇されないことになる。
自動車産業では、多くのメーカーがすでに労働者をレイオフ(雇用契約を期限付きで停止)できる限界に来ているため、従業員を解雇して退職金の費用捻出や熟練労働者喪失に苦しむ代わりに、PPEを選択することに利点はある。
政府側は失業保険支給額との差額節約と、所得税や社会保障費の徴収が可能となる。ネルソン・バルボーザ企画相によれば、PPEに5万人の労働者が加入した場合、政府の歳出削減額は6800万レに上るという。