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若者たちによる「クーニャ、やめろ」の垂れ幕(Fernando Frazão/Agência Brasil)
若者たちによる「クーニャ、やめろ」の垂れ幕(Fernando Frazão/Agência Brasil)

刑法引き下げ法案に若者がデモ=「下院議長、やめろ」の声も

連邦議会前の池の水を赤く染めて抗議する若者たち(Lula Marques/Agência PT)

連邦議会前の池の水を赤く染めて抗議する若者たち(Lula Marques/Agência PT)

 刑法の対象年齢を18歳から16歳に引き下げる憲法改正法案を強引に承認した下院に対し、7日、サンパウロとリオ、ブラジリア、ポルト・アレグレで若者たちによるデモが行われた。
 若者たちの怒りは、下院での承認の仕方にも向けられている。6月30日、下院で同憲法改正案が出され、1日未明に投票が行われたが、その際は憲法改正の基準である「議員の3分の2以上が賛成」に達しなかったため、否決された。
 しかし、同日夜、同法案をなんとしても通したかったエドゥアルド・クーニャ下院議長をはじめとする一部勢力が、刑事責任を16歳に引き下げる罪の対象から「麻薬の密売」や「死に至らなかった暴力罪」を外して再提案を行い、2日未明の再投票の結果、改正案が可決、承認された。
 だが、憲法では「一度議会で否決された提案は同会期中に再び審議や投票はできない」とあり、議会の反対勢力や司法関係者は同議長の行為を「違憲」と見ている。
 こういった動きを受けて声をあげたのは全国学生連合(UNE)などに属する若者で、黒人運動や、自由社会党(PSOL)やブラジル人共産党(PCB)など、政党関係者の参加も見られた。
 サンパウロでは7日午後5時30分から、パウリスタ大通りに約8千人が集まり、ルーズベルト広場までデモ行進を行った。デモは午後8時頃まで続いたが、暴力沙汰などは発生しなかった。
 一方、リオでも主学生連合(UEE)のメンバーらが市内の繁華街リオ・ブランコ大通りで、夕方から午後7時30分まで、デモを行った。こちらはクーニャ議長のお膝元ということもあり、参加者には「民主主義は死んだ」と書かれた棺を持つ人や、「クーニャ、やめろ!」の垂れ幕を掲げる人の姿も目立った。参加者たちは、クーニャ議長の事務所まで行こうとしたが、通りが通行止めで叶わなかった。
 ブラジリアでのデモは、「対象年齢引き下げ反対」などと書かれた横断幕を持った若者が議会前の池に絵の具を流し、水を赤く染めたりするという形で行われた。
 刑法の対象年齢引き下げの憲法改正案が正式に承認されるには、他の法案同様、下院で2度目の投票を通過させねばならず、その後も上院で2度、3分の2以上の承認を経てはじめて議会全体での承認となる。この改正案の場合は大統領による裁可は不要で、両院での承認によって発効となるが、社会的に見て大きな損失などを伴うと判断された場合は、最高裁が差し止める可能性が残っている。
 1日夜から2日未明にかけて行われた下院での審議のあり方は違憲の疑いも残るため、今後の展開が難航しそうだ。全国学生連合(UNE)は既に、同改正案に関して最高裁に上告する意向も表明している。(7日付アジェンシア・ブラジル、G1サイト、UOLサイト、フォトス・プブリカスなどより)