2015年も上半期を過ぎたばかりだが、インフレ率は既に政府の定めた年間インフレ率上限の6・5%に近づきつつある。8日のブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、拡大消費者物価指数(IPCA)は今年6月までに6・17%を記録した。また、失業率も過去3年の調査で最悪の8・1%に達し、ブラジル人世帯に2重のショックを与えていると9、10日付伯字各紙が報じた。
12カ月(14年7月~15年6月)のインフレ率はさらに高く、8・89%となっている。
昨年の7月のインフレ率は0・01%と低かった上、7月はサンパウロ州の電気代値上げや他の7州での水道代上昇もあり、「7月には過去1年のインフレ率が間違いなく9%を超える」とLCAコンスルトーレス社のエコノミスト、エトーレ・サンチェス氏は語った。
6月は通常、物価が下がる傾向にあるが、今年はそれに反し、インフレ率が上昇した。1カ月で0・79%の上昇は、6月の数値としては96年以来で最大だ。
最近の高インフレ率の主要因である光熱費は、6月に一旦上げ止まったが、それでも他の項目値上がりの要因となり、インフレに拍車をかけている。政府が価格を統制している項目の調整はほぼ終ったが、燃料費の値上げはまだ続く見込みだ。
ブラジル人一般世帯を苦しめているもう一つの大きな要因、失業率の増大は、自動車産業や製造業で発生している人員整理が主要因で、全国家庭サンプル調査(Pnad)で見た3~5月の失業率は、12年に調査が開始しされて以来最大の8・1%に達した。全国では合計815万7千人が失業状態にある。
投資会社オプスのエコノミスト、アンドレ・ガメルマン氏は、以前は労働市場に関わらないことを選択した主婦などが労働市場に復帰することは、景気減速下の現状では「自然なこと」との見解を述べた。
3月から5月までの3カ月間の労働者の平均所得は14年同期比で0・4%減少(インフレによる対物価比率調整済み)しており、国民の購買力が一層低下していることを表す。
ルシアノ・ナカバシ・サンパウロ総合大学(USP)教授は「雇用悪化は国内総生産(GDP)や所得の動きより遅れて表面化するが、今年のGDPは縮小傾向にある」として、雇用や所得の悪化傾向は今後数カ月間続くと予想している。