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リオ州=治安改善の兆し見えず=警察人員縮小の報道も=窃盗犯ナイフを使い凶悪化

 五輪開幕まであと1年余りだが、リオ州の治安には改善の兆しが見えてこないと13日付フォーリャ紙が報じた。
 リオ州公共保安研究院(ISP)発表のデータによると、銃撃戦の流れ弾被害、ナイフ強盗、携帯電話の盗難など、市民の不安感を高める犯罪が増加した。
 リオ州では今年の上半期、108人の警官が銃撃され、43人が殉職した。昨年上半期は61人の警官が銃撃された。また、流れ弾による一般市民の犠牲者は86人で、昨年同期の23人を大幅に上回った。
 軍警の発表では、毎年1500人の軍警が死亡や更迭、自主退職などで辞めている。過去8年では1万2千人の警官が辞めた。リオ州は8年間で9千人の警官を新たに採用したが、全員が軍警治安維持部隊(UPP)に配備された。3千人の人員減に加え、新規採用の警官が全てUPPに回されたことで、市街地パトロールの人員も不足しているという。
 警察は経済的困窮という問題にも直面している。出費を抑えるため、警察車両が1日に消費できるガソリンの量が30リットルに制限されたため、現在は200台の車両と200台のバイクが機能を停止している。UPP所属警官の中には、パトロール用のバイクの整備費用を自腹で払っている人もいるという。
 盗難件数は若干の減少を見せている。1月~5月の盗難件数は3万8423件で、昨年は3万9771件だった。
 盗難件数は若干減少しているが、犯行の性質が変わってきたことで、市民の安全度は低くなっている。最近の盗難はナイフを使ったものが多いのが特徴だ。
 リオ市内では、5月7日、17日、20日と、ナイフ強盗が立て続けに起きた。5月20日の事件では、ジャイミ・ゴルジ医師(57)がリオ市南部のロドリゴ・デ・フレイタス湖の周りをサイクリングしていたときにナイフ強盗に遭い、命を落としている。
 ロベルト・アルジール同州ビッグイベント局副局長によると、近年のイベント開催で経験を積んだことや装備の充実、その他で、警察力は従来になく増強されているという。軍警は6千人の警官増員のための選考を行っており、車両整備や燃料での予算削減は行っていないと釈明している。