民主運動党(PMDB)のミシェル・テメル副大統領は、同党を代表してラヴァ・ジャット作戦(LJ)で生じた連邦政府への不信感を語り、さらに18年の大統領選では労働者党(PT)との連立を解消し、独自候補を擁立する意向も表明した。16日付伯字紙が報じている。
テメル副大統領をはじめ、エドゥアルド・クーニャ下院議長、レナン・カリェイロス上院議長、元大統領のジョゼ・サルネイ氏ら、PMDB上層部は15日、リオにあるウリセス・ギマリャンエス記念館に集まり、党のイベントを開催した。
イベント後、テメル副大統領は、14日に元大統領のコーロル上院議員(ブラジル労働党・PTB)ら5人の現・元議員がLJで家宅捜査などを受けたことに関し、「三権独立の原則に基づいた平静さを保つことが必要だ。議会の平静さをかき乱すような行動は、ブラジル民に対しても悪い影響を与える」と語った。
同大統領は連邦政府と議会との関係を調整するアルチクラソン(政局調整)担当で、最高裁の許可を得て行われた連邦警察官の捜査活動が、立法府の尊厳を傷つけ、その権限を侵害したとの議会側の反発を配慮した発言といえる。
現在、PMDBや連立与党のあいだでは、一連のラヴァ・ジャット作戦は「連邦政府が連警を抑えられないせいだ」と批判する声が高く、その中心たるPTへの風当たりを強めている。最高裁に提出された疑惑の政治家リストにはクーニャ、レナン両議長の名前も入っており、14日以降、捜査の手が両議長にまで及ぶのではないかとの危機感が強まっている。
連警は、連邦会計検査院(TCU)長官のアロルド・セドラス氏の息子チアゴ氏の不動産の不正購入疑惑での捜査も行っているが、これも、8月にTCUが連邦政府の2014年度分の粉飾会計疑惑への判断を出す前の政府からの圧力ではと見る向きもある。
テメル副大統領はまた、「わが党は2018年の大統領選挙に独自候補を擁立する」と語り、PTとの連立を18年いっぱいで解消することも示唆した。
PMDBは議員数では下院2位、上院1位を誇る党だが、大統領選に関しては、1994年に全体4位で終わった元サンパウロ州知事のオレステス・クエルシア氏を最後に、候補者擁立を行っていない。具体的な候補名としてはクーニャ議長やリオ市長のエドゥアルド・パエス氏の名前があがっている。
PMDBによるLJに関する連邦政府への報復案には、TCUが連邦政府の14年度の会計報告を否決した場合に議会でも否決し、大統領の財政責任を追及する形での罷免請求を行う、大統領に近い閣僚の議会調査委員会への召喚、連邦政府の意向に反する法案審議などが上がっている。