【既報関連】税収が予想を下回り、財政調整のための法案審議も遅れる中、レヴィ財相の政策班は今年の基礎的財政収支黒字目標額、GDP1・1%(663億レアル)達成のためにブラジル政府ファンド(FSB)の金融資産の一部売却を決めたと17日付フォーリャ紙が報じた。
FSBはその純資産のほぼ80%を、ブラジル中央銀行(BB)株として所有しており、その一部を試験的に売却し、2386万レアルの売却益を得た。
政府がFSBの資産の一部を切り崩して歳入を増やしたのは、今年度の基礎的財政収支黒字目標達成のための助けとし、ムーディーズ社(以下ム社)などによるブラジル国債の投資適格指標の格下げを回避する目的がある。
しかし、現在ブラジルを訪れているム社調査団は16日、「ブラジル企業は少なくとも16年半ばまで、不安定な国内政治や高いインフレ率と、それに伴う国内外の投資家の足踏み傾向に悩まされるだろう」と発表した。
ム社は各国国債の投資適格性を21段階で評価しており、その結果は国際投資家の投資判断基準に大きな影響を与える。現在のブラジル国債は全21段階の9番目のランク、「投資適格」の「Baa2」だが、あと2ランク下がると「投資不適格」となってしまう。
ム社シニア分析員にして、副社長のマルコス・シュミット氏は、「現行の大企業、政府要職関係者を巻き込んだ汚職調査の進展が、ブラジル経済、主に工学・建設・エネルギー部門に甚大なマイナス影響を与え、結果的に製鉄・建築資材産業にもその影響が及んでいる」とした。
ム社調査隊はブラジルの財政調整の行方にも注意を払っている。連邦政府は格付け引き下げを避けるため、外国人の投資家達に呼びかけ、ブラジル財政の先行き不透明感の払拭に努めている。
レヴィ財相は、ム社との会合は「良いものだった」とし、ラジオに出演し「金融部門の回復が目に見える状況に戻るのには時間がかかるが、これは政府の財政再建のために欠かせないプロセスの一部だ」と語った。