ジウマ大統領は基礎的収支の黒字目標額の引き下げと、新たな予算削減を含んだ報告書を議会に送る方針を決定したと22日付伯字各紙が報じた。
政府が歳出削減100億レアルを追加しても、GDPに対する黒字比率は事実上限りなくゼロに近くなりそうだ。この黒字分が国債の利払いや借金返済に充てられるので、緊縮財政が達成されないと国債格付けなどに悪影響が及ぶ可能性があると指摘されている。
22日付フォーリャ紙は21日夜の段階で、基礎的収支の黒字目標額はGDPの1・1%(663億レアル)から0・15%(90億4090万レアル)に引き下げられる見込みと報じた。
ジョアキン・レヴィー財相が大幅な歳出削減を主張する一方、ネルソン・バルボーザ企画相は行き過ぎた歳出削減は政府機能の停止につながると反対していた。
両大臣は、黒字目標額についても意見が食い違っていた。レヴィー財相は黒字目標額引き下げをGDPの0・8%にするべきだとし、バルボーザ企画相は0・6%を主張してきた。
不況で税収が想定されたほど伸びず、今後とも大きな改善が望みにくいという見通しが、黒字目標額の大幅な引き下げを主張するバルボーザ企画相、アロイージオ・メルカダンテ官房長官らを勢いづかせ、ジウマ大統領もその言葉に従った格好だ。
上半期、政府の歳入は前年比2・9%減と財政予想を下回るもの。結果的に黒字目標額の引き下げは、財相と企画相の主張のいずれも大きく下回る0・15%となった(ただしエスタード紙は約0・2%と報道)。
21日より、レヴィー財相は政府が財政調整の方針変更を行う事を示唆しており、「税収、景気動向が予測以上に悪化しているとの報告書が上がっている。これに対処するため、より現実的な目標が必要だ」と述べ、さらに「政府は今回黒字目標額の修正で財政調整が終わったと考えてはいない。その逆でこれを端緒に一層の財政調整を進めていく」と続けた。
第2期ジウマ政権1年目の今年、ブラジルは景気後退に直面し、政府はGDP成長率を前年比マイナス1・5%と見込んでいるが、2%に届くのではないかと見る専門家筋もいる。