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ラショナイスMCsのアルバム「ソブリヴィヴェンド・ノ・インフェルノ」~ウィキペディアより
ラショナイスMCsのアルバム「ソブリヴィヴェンド・ノ・インフェルノ」~ウィキペディアより

サンパウロ市長=ローマ法王へ驚きのプレゼント=ブラジル・ヒップホップの名盤渡す

 サンパウロ市長のフェルナンド・ハダジ市長が、ローマ法王フランシスコに驚くべきプレゼントを贈ろうとしていると話題になっている。
 21、22日にヴァチカン市国では全世界15都市の市長を招いて大きな環境セミナーが開催されている。それに参加しているハダジ市長は、大都市の市長でもなかなかないローマ法王との出会いのチャンスに、珍しい贈り物を贈呈しようと試みている。そのプレゼントとは、なんと「ヒップホップのレコード」だ、
 それはサンパウロのヒップホップ・グループ、ラショナイスMCsが1997年に発表したアルバム「ソブリヴィヴェンド・ノ・インフェルノ」(「地獄を生き延びた」の意味)だ。もっとも、この案を思いついたのは市長自身ではなく、市青少年教育局のコーディネーターのクラウジオ・アパレシード・ダ・シウヴァ氏だという。
 もっともこれには、しっかりとした理由がある。このアルバムの歌詞に、聖書の教えが多く歌われているからだ。たとえば、このアルバムのジャケットには、十字架に加え、詩篇23篇第4節の「わが魂を洗い、われを正義の道へと導きたまえ」という一説が書かれている。
 そして収録曲の中にも「ジェネシス(創世記)」「詩篇4編第3節」など、聖書にまつわる曲名がつけられている。
 ラショナイスMCsは、サンパウロ市内の黒人たちの貧しく犯罪へと走りやすい状況を批判した社会的な歌詞で知られ、92年に起きた市内北部の旧カランジルー監獄で起きた囚人の大量虐殺をテーマにした曲で注目を浴びた存在でもあった。
 そうしたラショナイスの姿勢は、「インクルゾン(社会の底辺にいる人たちを救いあげる)」を標榜する市長所属の政党の労働者党にも合い、かつ、かねてから歴代法王の中でリベラルな主張を展開することで知られる現法王にもピッタリだと見られたのだろう。
 市長と共にヴァチカンに帯同したサンパウロ市国際局のヴィセンテ・トラヴァス局長によると、メンバー直筆サイン入りのアナログ・レコード・サイズのアルバムを、21日現在でまだ渡せていないとのことだが「必ず届ける」と語っている。
 なお、このアルバムは、「ブラジル音楽史上最高のヒップホップ・アルバム」として一般認知されており、ローリング・ストーン・ブラジル誌が選んだ「史上最高のブラジル音楽のアルバム100枚」で14位、サンパウロの新聞エスタード紙とエルドラドFM共同による同企画でも12位に選ばれている。