治安改善の進まないリオ市では、市民が自衛のために電気棒を持ち歩き始めている。これは強盗犯に押し付けてボタンを押すと電気ショックを与えるものだ。
電気棒を規制する法律はないが、商品は正規の製造・流通ルートを通っていない。海賊製品を規制する警察、利益が見込めて売りたい露天商、自衛のために持たざるを得ない市民の思惑が絡み合う様子を22日付エスタード紙が報じた。
最近、リオ市中央部ウルグアイアーナ街の露天市場に、1週間に及ぶ同市公共保安局の捜査の手が入り、電気棒を売っていた2カ所の露天が市場から退出させられた。
露天商人たちは、露天市場の近辺、リオ・ブランコ大通り、プレジデンテ・ヴァルガス大通りでも多くの強盗が発生している事を受けて、電気棒は人気商品だとしている。電気棒は70レアルで販売されている。
露天市場ではお馴染みの中国製の海賊商品で、電圧の表示さえないにもかかわらず、この商品を規制する法律はない。
陸軍は2000年制定の法令3665号で「電極を使って、圧縮ガスを生成し、弾を発射する武器の携帯を禁じる」との条文があるとしているが、電気棒はこの定義に当てはまらず、規制対象外だ。
ナビル・ゴライェブ・ブラジル心臓病学会局長は「電気棒のショックは通常、痺れ、よろめき、ふらつきを与える程度で相手の身体に重大な危害を加えるものではない。だが、もし相手が不整脈だった場合、心臓停止につながり、死に至らしめる可能性がある」としている。