サンパウロ州ミランドーポリス市の弓場農場(コムニダーデ・ユバ協会、弓場常雄代表)が創立80周年を記念し7月9日夜、舞踏家の大野慶人さんを招いて公演「花と鳥―内部と外部」を行なった。劇場は各地から訪れた500人の人手で埋まった。
「舞踏」は大野さんの父・一雄氏や土方巽氏が1960年代に確立した前衛芸術で、国外でも日本を代表する舞台芸術として知られている。初見の観客も多かったため、日ポ両語で解説がなされた。公演には弓場バレエ団の小原明子代表も参加して迫力ある共演を披露、観客は緊張感あふれる舞台に見入っていた。
同公演は、過去に大野さんと共演したことがある小原代表の要望を受け実現した。同氏の来伯は3回目。今回は、世界中を飛び回る多忙な大野さんが聖、リオ市での公演の合間をぬって、同農場に1週間留まるという異例の日程となった。
滞在中は同地バレエ団との交流やワークショップで、親睦・技術向上に努めた。同月15日に迎えた77歳の誕生日を弓場のメンバーに祝福され、また大自然に囲まれながら共に農場生活を楽しんだ。
大野さんは「農場生活を通じてブラジルという国をより身近に感じた。フェスタ・ジュニーナを体験し、広大なパラナ川も訪れ、これからの創作活動や生き方を考えさせられた」などと話していたという。
同公演の実現に努めた明子さんの娘あやさんは、「サンパウロ市からわざわざ見に来てくれた人もいた。お客さんが喜んでくれたことが一番。子どもたちも真剣なまなざしで舞台を見つめていた」と成功を喜んだ。