急速に進行する不況と、それに伴うブラジル投資格付け引き下げの危機が、国外通貨建てで負債を抱える企業を苦境に陥らせていると2日付エスタード紙が報じた。
先週、スタンダード&プアーズ社(以下S&P社)がブラジルにBBB-(下降傾向)の評価を出す前から、国外債務を抱えるブラジル企業は苦境を強いられていた。
ブラジル経済の好調時、企業は国際市場にも販路を拡げた。その結果08年以来、企業の国外債務は75%上昇し、3480億ドルにまで達した。
この債務の民間企業比率は61%の2120億ドルで、7年で2・3倍になった。さらに1ドルが3・4レアル付近と、近年例を見ないほどのドル高が追い討ちをかけている。為替変動リスク管理でも追いつかないほどのドル高に企業は悲鳴を上げている。
近年のブラジル企業の対外債務増大は国際通貨基金(IMF)や国際金融協会(IIF)が警告を発するほどの水準になっている。IIFが最近発表した報告書では、ブラジル企業の対外債務は急激に増大し、危険水域に達しているとした。IMFは、特に発電関連企業が、ドル建て債務の増大と収益減少から、危険な状態にあるとしている。
IMF・IIF発表のデータは、個別企業の格付けにも影響を与えており、フィッチ・レーティング社、S&P社ともに、多くのブラジル企業の投資評価を軒並み下降させた。