ホーム | ビジネスニュース | ブラデスコ=HSBCブラジル部門を買収=最大手のイタウに迫る勢い=株価下落で買収価格に疑問
ブラデスコ銀行に伯国部門を売却したHSBC銀行のロンドン本社ビル(Barry Caruth/Wikimedia Communs)
ブラデスコ銀行に伯国部門を売却したHSBC銀行のロンドン本社ビル(Barry Caruth/Wikimedia Communs)

ブラデスコ=HSBCブラジル部門を買収=最大手のイタウに迫る勢い=株価下落で買収価格に疑問

 国内2位の民間銀行であるブラデスコ銀行(以下ブラデスコ)が、国内7位のHSBC銀行ブラジル部門(以下HSBC)を、52億ドルで買収することが3日未明発表されたと3、4日付伯字各紙が報じた。
 ブラデスコはこの買収で総資産を1兆1930億レアルとし、1兆2千950億レアルを誇る民間銀行業界最大手のイタウ銀行に迫った。
 買収交渉は難航した。ブラデスコが提示した条件が厳しかったため、HSBCは合意直前まで、サンタンデール銀行との統合の道も模索していた。
 ブラデスコは声明で、「HSBCの、預金、保険、資産管理など、すべての事業を継承する」と発表した。
 ルイス・カルロス・トラブーコ・カッピ、ブラデスコ頭取は「顧客は銀行を頻繁に鞍替えしない。今回の買収で、10年かかる版図拡大を1年で済ませる事ができる」と語った。
 この買収でブラデスコは業界1位のイタウに迫ったが、52億ドル(179億レアル相当)の買収価格は市場関係者から驚きを持って受け止められた。
 HSBCの総資産は112億レアルで、1・2倍にあたる138億レアル周辺が妥当な価格だと見られていたが、実際に支払われる179億レアルはその1・6倍だ。
 株価も敏感に反応し、3日未明の発表を受けて、ブラデスコ株は3・12%マイナスを記録、翌4日も取引開始3時間半後の午後1時半の段階で1・3%下落している。
 ブラデスコ幹部は、同社のシェアの弱い地域を、HSBCが補完している(パラナ州)ことが魅力だったとして、買収価格は正当だったと主張している。
 ブラジル中央銀行(BC)は、買収後のブラデスコのシェアを、16・38%と見て、独占につながるとは判断していないが、「HSBCのシェアが強かったパラナ州の動向は注意深く分析する必要がある」と語る専門家もいる。