昨年のサッカーW杯準決勝で、セレソンがドイツに1―7で大敗した7月8日。サッカー王国最悪の屈辱の日を、むしろ「市の祝日」にしてしまおうという法案が、ある都市で提案されて話題となっている。
その都市の名はカンピーナス。サンパウロ州第2の都市に数えられるれっきとした大都市だ。提案したのは同市の市会議員ジョッタ・シウヴァ氏(ブラジル社会党・PSB)。地元カンピーナスでは、ラジオでサッカーの実況アナウンサーもつとめている人物だ。
提案された休日の名前は、ずばり「ゴール・ダ・アレマーニャ」(ドイツのゴールの日)。この試合のテレビ中継で、名物実況アナウンサーのガルヴォン・ブエノが7回に渡って叫んだ言葉だ。
「私がこの提案を行なったのは冗談なんかじゃない。サッカーに情熱を傾けるブラジル国民として、あの日はこれ以上ない悲劇。あの悲劇を思い出すことによって、それを乗り越え変わっていくことが大事なんだ」とジョッタ議員は前向きに語っている。
自分が議員である限りは、毎年7月8日は議会内であの敗戦に関しての討論会を行ないたいとし、「マスコミやクラブの経営者たちを呼んで、ブラジル・サッカーを分析するための討論を行ないたい」としている。
その熱意の甲斐もあり、3日にその法案は議会に提案された。この法案が現実のものとなるためには、2回の審議と投票が行われた末に、同市のジョナス・ドニゼッテ市長の署名を経ないとならない。奇遇なことに、同市長と同議員は共にサンパウロの隣州、パラナ州のアトレチコ・パラナエンセのファンだという。
ジョッタ議員は、この法案が必ず承認されるとの自負を持っている。だが、〃夢〃はそこで終わらず、「全国でより多くの都市でこの日を祝日にして、スポーツについてもっと語り合うことを願っている」と語っている。