11日、投資格付け会社ムーディーズ(以下、M社)は、ブラジルの投資適格性ランクを、Baa2からBaa3へ引き下げたと11、12日付伯字各紙、サイトが報じた。
M社による21段階評価の10番目のランクであるBaa3は、「投資適格」とされる限界のランクで、これによりブラジルは、S&P社も含め、二つの格付け会社で、「投資適格」限界ランクに落ちた。
ただし、格付け見通しは「ネガティブ」から「安定的」となったため、M社は今のところ、これ以上の格下げはしない方針と思われる。
M社はブラジルの不況と国家財政の悪化、ラヴァ・ジャット作戦による影響を格下げの主要因としており、政治の混乱に対しても懸念を示している。M社は政権与党内で全く足並みが揃っていない事実は公的債務の増大回避を困難にすると判断し、ブラジルの債務は16年までに国民総生産(GDP)の67%になり、18年には70%に達すると分析している。
大型国際投資ファンドの多くは「投資不適格」国に関しては、国債購入するという形の投資を禁じており、ブラジルにとっては「投資適格」国としてのランク維持は重要だ。
経済学者、市場分析員たちはメディアの取材に対し、引き下げは、一向に財政調整を進められない政府に対する圧力となるとの見解を示した。
グスターヴォ・ロヨラ元中銀総裁は、「基礎的財政収支の黒字目標を引き下げた時点で格下げは予想していた。見通しが『安定的』とされたのは『投資不適格』突入を防ぐために約半年の猶予を与えられたという事で、来年『投資適格』を維持できる可能性は五分五分」との見方を示した。
投資会社グラドゥアル・インヴェスチメントの主任エコノミストのアンドレ・ペルフェイト氏も、「クーニャ下院議長が自分の身を守ろうとして財政再建を図る政府の意向に反する行動をとり続ければ、近い将来、深刻な問題がブラジルを襲いかねない」と語っている。