【既報関連】大サンパウロ市圏のオザスコ市とバルエリ市で13日夜起きた連続殺人事件は、7日夜オザスコ市で起きた軍警殺害事件への報復との見方が強まり、同種の事件の反復を恐れた市民らが授業時間や店の営業時間短縮その他の自衛手段を講じていると15~17日付伯字紙が報じた。
13日の連続殺害事件は、午後8時半から午後11時過ぎまでの3時間足らずの間に、オザスコ市8カ所、バルエリ市2カ所の計10カ所(半径約10キロ)で起きた。
オザスコ市の現場は、7日に殺されたアヴェニウソン・ペレイラ・デ・オリヴェイラ軍警伍長が警邏していた地域と重なる。同伍長は担当地域の住民や麻薬取引の場所、常習者などを熟知していたが、7日夜、給油のために立ち寄ったガソリンスタンドで2人の強盗に襲われ、自らの銃を奪われて撃たれた。2人組はまだ逃亡中だ。
13日の事件に関しては、オザスコ市内では黒い車とバイク各1台の使用が確認され、警察は最大6人が事件に関与したと見ている。バルエリ市内の事件では別の車が使われた。現場からは、軍警などが使う9ミリ口径と45口径、市警備隊なども使う38口径と380口径の4種類の薬莢が発見され、ブーツ姿の犯人像も残っている。
アレッシャンドレ・デ・モラレスサンパウロ州保安局長は14日、警備などを強化したからパニックに陥る必要はないと市民に呼びかけたが、オザスコ市内では同日も犯罪者集団が同様の襲撃事件を繰り返すとの噂が飛び交い、商店街やショッピングセンターもガラガラ。学校も早めに授業を切り上げた。サンパウロ市西部にあり、キャンパスの一部が同市と接するサンパウロ総合大学でも、同日は授業時間が短縮された。
大サンパウロ市圏では3人以上の死者が出る集団殺人事件が1~6月に10件起きており、38人が死亡した。この数は昨年同期の6件、18人を大幅に上回り、ここ4年間では45人が犠牲となった13年に次ぐ記録だ。ただし、13日の死者18人を入れると、1回平均の死者は4・7人となり、最悪の結果となる。
当局では、バルエリ市の市警備隊員殺害事件への報復の可能性や麻薬密売との関係なども含めた捜査を継続するが、17日からはオリヴェイラ伍長の同僚だった軍警らへの事情聴取も始まる。警官や元警官が殺人事件を繰り返す例は決して珍しくなく、解決が長引く事も多い。