16日、今年のブラジル全国選手権前半戦最終戦、アヴァイーFC対コリンチャンスの試合を見に500キロ離れた街フロリアノーポリスに行ってきた。
いくら贔屓チームの応援とはいえ、わざわざ500キロの道をバスや飛行機で駆けつけるなんて酔狂の極み。しかし、そんな酔狂人が実は週末のブラジルを飛び回っている。いやブラジルだけではない、もはや世界中で見られる光景だ。
サッカーだけで終わらせてはもったいない。風光明媚、美人揃いで有名なフロリアノーポリスの街を観光したり、名物料理を食べたり、試合の前に目的の半分は達せられたも同然だ。実際、コラム子の友人は試合の日の朝、フロリアノーポリスで行われたハーフマラソンに参加した。
試合は度外視と言ったものの、勝ってくれれば言う事無し。それがこの試合ときたら、劇的逆転勝利で幕切れ。なにもかも上手くいった完璧な旅だった。
前半から首位討ちに燃える地元アヴァイーのすばやい出足にタジタジのコリンチャンス、中盤のコンダクター、レナトを怪我で欠き、代役も期待に応えられず、防戦一方だった。
試合が動いたのは前半14分、左サイド深くまで侵入し、フリーキックを得たアヴァイーは、フリーキックにエースの背番号99、アンドレア・リマが頭で合わせて先制した。その後、アヴァイーの運動量が少し落ちるも、コリンチャンスはチャンスを作れず。このまま前半終了かと思われたが、ロスタイム2分過ぎ、アヴァイーFCDFのヘッドでのクリアーが弱かったところ、絶好調男、ルシアーノがボールを地面に付かせずにワントラップから打ったボレーシュートが決まり、コリンチャンスが同点に追いついた。
後半も気落ちせず攻めるアヴァイーFCだが、シュートがポストにはじかれたり、ゴールが微妙な判定のオフサイドで取り消されたりの逸機が続くと、またもルシアーノの出番がやってきた。ペナルティエリアすぐ外の彼への縦パスを振り返って左足に持ち替えると、左隅を狙ってシュート。ボールを受けてから2秒もノープレッシャーは、このレベルでは勘弁してもらえない。
後半41分でのコリンチャンス逆転は、500キロの道を応援に駆けつけた漆黒の応援団、大爆発の時だった。
まだ諦めないアヴァイーFCが終了間際に掴んだビッグチャンスも、コリンチャンスGKがストップし、タイムアップのときを迎えた。
これで全国選手権前半を終えての首位ターンが確定したコリンチャンスだったが、試合後の監督記者会見で見た監督チッチの姿はげっそりしていた。そんなチッチに「これで水曜のブラジル杯は主力温存ですよねえ! ねえ!」と翌日の見出し用に言質を取りたい記者が文字通り、襲いかかっていた。
会見も終わり、スタジアムを出ると、地元アヴァイーの奮戦に満足気なファンが気勢を挙げていた。(規)