23日、全国選手権も折り返しの第20節、2位アトレチコ・ミネイロに勝ち点差4で首位を征くコリンチャンスは、一昨年、昨年と2連覇中のクルゼイロをホームに迎え撃った。
4万人を超す満員の観客を集めたこの試合、注目されたのはコリンチャンスFWのワグネル・ラヴだった。期待されて今季から加入するも、この試合まで31試合5得点とブレーキ。若手のルシアーノにポジションを奪われた上、そのルシアーノが3試合5得点と大活躍して、控え要員になりさがったかと思いきや、ルシアーノの右ひざじん帯断裂の大怪我で再び先発の機会が回ってきた。
見る目の厳しいコリンチャンスのファンもラヴには懐疑的で、メンバー紹介時の拍手も、明らかに他の選手より一段落ちるものだった。
それが蓋を開けてみれば2得点の大活躍。活躍できなかった頃とは味方からのパスの質も違う。周りの味方が、ようやくラヴの活かし方を掴んだと言うべきか。ラヴの2得点を含む3得点で、3対0と快勝した。
この試合、これまで何十試合とアレーナ・コリンチャンスで観戦してきたコラム子は初めて、一番過激なファンの陣取る北側ゴール裏に行った。チケットが取れず、過激なファングループに属する、日本時代からの日系ブラジル人の友人に、恐る恐るチケットの余りがないか聞くと、快く融通してくれた。
試合前の友人の訓示は「ここに陣取る以上、90分間応援を続けなきゃダメだ。選手に厳しい俺たちは、選手以上に戦う姿勢を見せる。それがここの掟」だった。
別の観客席から北ゴール裏の様子を見ていて、味方同士なのに喧嘩する様子や暴れすぎて警棒の軍警に追い回されている様子をしばしば見ていたコラム子は緊張していたが、中に入ってみると、女性や子供もいて、それほどの危険は感じなかった。
ただ、得点時の盛り上がりは格別で、興奮した観客に壊されないよう、始めから座席が取り除かれている同エリアはコンクリートが打ちっぱなし。ゴールが入ると、前からも横からも後ろからも人が押し寄せてきて、もみくちゃにされる。そんな最中、足元を小さな子供が駆け回っているのに気づき、危ないのでヒョイと抱き上げて肩車してしまった。どうやらコラム子も、彼らを「興奮しすぎ」と評する資格は無いようだ。
3対0ならみんな上機嫌。トラブルの発生する可能性も低かった。「声かれるまで歌うぞ!」の歌詞そのままに、ガラガラ声でスタジアムを後にした。 (規)