銀行の融資枠縮小などの影響で、農産物価格や生産性の伸びへの不安が生じていると24日付フォーリャ紙が報じた。
大豆の作付け目前なのに銀行審査が厳しくて融資の目処がたたない、金利引き上げで負担増などの理由で、種や肥料が買えず、畑の準備も出来ない農家は全国にいる。
手持ち資金が底をついた農家が頼りにするのは公的銀行や民間銀行の農業融資だ。ブラジル銀行は貯蓄預金(ポウパンサ)預入額の9割を農業貯蓄とし、年8・75%(昨農年は6・5%)で貸し出す。連邦貯蓄銀行や民間銀行は貯蓄預金の65%を住宅融資に当てているが、全ての銀行が持つ普通預金の預入額の34%は農業融資に回される。
ところが、経済基本金利引き上げで、普通預金や貯蓄預金を投資ファンドなどに振り替える人が増え、農業融資の65%を担う伯銀も、今年の貸付額は昨年(80億レ)の半分以下の35億レアルと低迷。中央銀行によれば上半期の農業融資は昨年比14%減った。
6月に連邦政府が15/16農年の融資資金は昨農年比20%増(インフレ調整なし)の1877億レアルとすると発表してからの伯銀の農業融資額は、企業向けが昨年同期比34%、小規模農家向けは11%、中規模農家向けも95%増えたが、民間銀行では債務不履行増大を懸念し、登録条件や担保となる物件提示などの事前審査を厳しくしており、貸付増大は容易には進んでいない。
大豆生産全国一のマット・グロッソ州では、昨年8月中旬には100%の農家が種や肥料などの注文を済ませていたが、今年はその割合が82%に留まっている。
肥料のほぼ100%を輸入するブラジルでは、ドル高で購入費が高騰している。また、注文や購入が遅れれば、大豆を搬出するトラックで肥料などを搬入する事が出来ず、輸送費も増大。畑を準備する時間も減り、近年並みの生産性向上は困難となる上、コモディティ価格低下で収益低下は不可避との見方が出ている。
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