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ベネズエラ=コ国と国境封鎖から7日=歩いて帰国する市民も=物資の枯渇する国境都市

 19日未明、ベネズエラ(ベ国)領内サンアントニオ・デル・タチラで、国境警備隊員3人と一般市民1人が、コロンビア(コ国)の麻薬密輸人2人から銃撃されて負傷するという事件が起き、マドゥーロ・ベ国大統領が20日、コ国との国境閉鎖を宣言した。その後1週間に及ぶ両国問題を21~26日付伯字各紙が報じている。
 マドゥーロ大統領はさらに、21日に国境付近5都市に緊急事態宣言を発令した。21日から25日までに、約1千人のベ国在住コ国民が国外追放となっている。
 国外追放を免れたベ国在住のコ国民は、家屋を捨て、持てるだけの私物を持って国境のタチラ川を歩いて渡り、コ国への帰還を始めた。コ国警察はコ国民の帰還を援助している。
 カベージョ・ベ国議長は野党側からの「ベ国当局はここ数日間で国境付近に住んでいるコ国民800人以上を強制送還して彼らの人権を侵害した上、コ国側に人道的な問題も引き起こしている」という批判を否定した。コ国側では、ベ国との間をつなぐ国際シモン・ボリバル橋を通じた物資の輸送が止まったククタ市が、非常事態宣言を発令している。
 カベージョ議長はこれに対して、「ククタ市はそもそもコ国の都市で、ベ国政府に出来る事には限界がある。コ国のことはコ国で解決すべきだ。ベ国政府はベ国民のことを第一に考えている」と述べた。
 マドゥーロ大統領は24日にも、両国間の国境問題を「腐敗した」と評し、コ国による暴力や麻薬密輸の責任はアルバロ・ウリベ前コ国大統領にあると批判した。
 ウリベ前大統領はちょうどその時、ククタ市におり、ベ国当局によるコ国民の扱い方は「非人道的」と非難した。同前大統領はサントス現コ国大統領の対応を「弱腰」だと批判した。
 19日に攻撃された4人の内2人は、25日現在も重体だ。
 緊迫する国境問題に対する解決策を探るため、25日にはウナスル事務局長のエルネスト・サンペル元コ国大統領が協力を申し入れた。また、26日には、当初予定されていた9月14日を前倒ししてベ・コ両国の外相会談が行われたが、本稿締め切り時点では、詳細な情報は入っていない。