ブラジル全5570の自治体(市)の内、52%にあたる2902の自治体では、医療設備が整わないため、検査をするための初期対応の段階から患者を他の自治体に送っていると27日付エスタード紙が報じた。
この実態は、26日に発表された、地理統計院(IBGE)による全伯自治体・各州実態調査によって判明した。
同調査ではさらに、6割の自治体では、入院が必要な患者が他の自治体に送られていることも判明した。この傾向は人口5万人までの市や、南東部、北東部で顕著だ。
同調査では、24時間医療の体制が整っていない様子も露になった。ほぼ13%の自治体は、24時間医療体制が整っていない。また、公立病院または統一医療保健システム(SUS)と提携している私立病院に新生児用の集中治療室がない自治体は、93・4%に上っている。
リオ連邦大学公衆衛生研究所のリジア・バイーア教授はこのような現状を指し、「SUSは本来あるべき姿に整備されていない。緊急医療はもっと簡単に利用できなくてはいけない。入院が必要な場合も、マラニョン州の患者をピアウイ州に送るのでは意味がない。自宅近くで血液検査やX線検査さえ出来ないのは論外だ」と批判した。
腎臓系疾患患者用の人工透析機の不足も判明した。人工透析機がある自治体は10%にも満たない484のみで、アクレ州やロライマ州では1台ずつしか透析機がない。「(アクレ州都)リオ・ブランコのクリニカス病院では270人の患者が透析治療を行っているが、これらの患者はアクレ州全土だけでなく、アマゾナス州や隣国のボリビアからも来ている。治療を受けるには午前4時半に病院に着かねばならないし、治療が間に合わず亡くなる患者もひっきりなしにいる」と、アクレ州腎臓移植患者協会のベレニセ・サレス会長は述べた。
全伯の半分の自治体では、産院が一つもないことも明らかになった。同調査は14年7月から15年3月にかけて、全26州と1連邦区にある全ての自治体を対象に行われ、各々の質問には州や市の職員が回答した。