地理統計院(IBGE)が28日朝、第2四半期の国内総生産(GDP)は第1四半期比1・9%縮小し、リセッション(景気後退)が数字の上でも明らかになったと発表したと同日付各紙サイトが報じた。
数字の上での景気後退は、各四半期のGDPが2期連続で前期を下回った場合をいう。第2四半期のGDPは前期比マイナス0・7%だった第1四半期に続いて縮小しており、ブラジルは数字の上でも景気後退に陥った。第2四半期のGDPは1兆4280億レアルで、昨年同期比2・6%減、今年に入ってからでは2・1%縮小した。
だが、失業率の上昇、企業や消費者の先行き不安増大、小売減少といった種々の指数から景気後退を予想していた専門家も、第2四半期のGDPが1・9%も低下した事に驚きを隠せない。
部門別GDPは、工業が前期比4・3%、農牧業も2・7%、サービス業も0・7%縮小した。ドル高などで輸出は3・4%増えたが輸入は8・8%減、家庭消費も前期比2・1%縮小した。他方、前期比での政府支出は0・7%増えた。
工業は、全体の75%の比重を占める建設業と製造業が8・4%と3・7%落ち込んだ。サービス業は商業が3・3%、運輸・保管業が2%、情報処理が1・3%縮小したが、運営管理や保健、教育は1・9%伸びた。
農業生産は前期より縮小したが、生産性向上などで、昨年同期比では唯一、1・9%増を記録した。増産は大豆11・9%、トウモロコシ5・2%、米4・4%など。カフェとフェイジョンは2・2%と4・1%減産となった。
GDP縮小を招いた主な要因の一つは、生産性の向上や生産力増強につながる投資の減少で、前期比では8・1%、昨年同期比では11・9%も減少した。また、昨年同期比での政府支出は1・1%減、家庭消費も2・7%減を記録した。
ブラジルは1999年3月と2001年9月、2009年3月にも景気後退に陥っているが、09年は家庭消費が好調で、短期間で景気が回復する推進力となったのに対し、今回は国内消費が縮小。政府側も財政調整難航などで明確な景気対策を打ち出せず、景気浮上への見通しが立たないのが実情で、関係者の不安感は前回以上に強い。
ジウマ大統領は先日、2016年の景気も思わしくないとの見通しを明らかにしたが、市場では既に、2017年に景気が上向き始めれば上々との声も出始めている。