8月30日夜、安全保障関連法案(安保法案)に反対する大規模な抗議デモが日本の国会前で行われたとの報道がブラジルのTVで流れた▼日本の知人が安保法案関連の記事を頻繁にフェイスブックで流したりしていた事もあり、若者や女性も同法案反対の声を上げている事は知っていたし、政治的なデモへの参加者は就職の時に不利になるというのは事実かといった報道まであったと聞いた▼だが、今回のデモがいつにない規模であった事は、日本で大規模デモが起きたとの当地報道があった事からも窺われた。戦後70年を数える節目の年に提出された安保法案。1960年に自民党が日米安保条約の改定を単独強行採決した時は、主導した岸信介首相が条約の自然承認を待って6月に辞職した。10年後の条約更新時には条約破棄を通告させようとして安保闘争が起こり、安田講堂事件なども勃発した▼こう考えれば、日本人も決して政治に冷淡なわけではない。しかも、安倍内閣は国民が納得できるだけの説明もせず、国民の半数が反対している法案を成立させようとしているのだから、国民が簡単に承知するはずはない▼「戦争に行きたくないというのは自己中心なエゴ」とのたもうた国会議員もいたようだが、未来のない戦いを強いられた軍人や戦争で家族や知人を失くした人々が世界に誇ってきた憲法9条を改定しようとする意図は何か。安倍首相は9月に行われる自民党の総裁選でも再選確実と見られている。だが、時が経ち、国民を納得させないままの安保法案成立が同首相の汚点と言われる日が来た時には、日本はもう後戻り出来ない状態に追い込まれているに違いない。(み)