日本をこのような軟弱国家のままにしておいてよいのであろうか、というのがわれわれの問題意識の根底にある。国際的な罪悪感、自虐的歴史観、そして国際的に異常なくらいの優柔不断性が続くことによって、これから日本に生まれ、育ってゆく人達や日本を担う今の若者達は世界で最も不幸な民族になると思われる。なぜなら、彼らは生まれた時から負の遺産を背負っているからである。
そして、この問題を解決すれば、それが出来るのは、現在成人になっている日本の人たちだけである。特に、未だに戦争の時期の記憶を持っている年配の人たちに期待するほかは無い。太平洋戦争、より正しくは、大東亜戦争の開戦当時の綿密に検討すれば、日本を「国際的な犯罪国家」と規定する根拠は毛頭無く、「東京裁判史観」自体が戦勝国に操作されて作られた根拠の無い歴史観であることが判明するのである。
冷静に過去の歴史を直視することにより、日本人は戦争に対する認識を大転換し、罪悪感を払拭し、自虐史観と決別し、自信を持って国際社会において活動できるようになるであろう。日本の学生も社会人も堂々と自分の考えを論理的に展開し、説得力を持って相手を動かしてゆくことが出来るようになるであろう。
日本の総理大臣が諸外国の元首と比較して、自信と積極性に欠けるのは、主にこの自虐史観によるものと思われる。この日本人から自虐史観を駆逐することが我々グループの目的であり、その名前を「日本再生研究会(南カリフォルニア)」としたのである。そして、萎縮した日本を尊敬される日本に転化する方法は、第一に自分の意見を主張することである。
たとえば、2007年に米国議会の下院が慰安婦避難決議案を用意した時点においても、日本政府は公に何の抗議声明も発表しなかった。しないことによって、世界はそれを認めたと解釈するのである。それに比べて、同じ下院がアルメニアに対するトルコの虐殺の非難決議を用意したときには、トルコ政府は公式に抗議したために、その決議案は撤回されたのである。大学の授業と同じように、それぞれの国の代表者が自分の立場から意見を率直に述べる事によって相互理解が深まるのである。明確な発言が必要なのである。
今回私たちの読書会を通じて発見したことは、「歴史は絶えず動いてゆく」ということである。ここで主な対象とした年代は、1853年の開国から、サンフランシスコ平和条約発効の1952年ころまでであるが、近年になって発見された重要な事実が多数ある。ソ連のKGB関係の資料、アメリカ政府が長年の結果成功した在米ソ連スパイの暗号交信記録の解読(ヴェノナという)、中国国民党中央情報部の記録、2005年に出版された毛沢東についての伝記などである。特に、1991年のソ連の崩壊で、共産党が秘蔵していた極秘資料が公開されたことは、当時のコミンテルン(共産主義インターナショル)の国際戦略を知るために重要な資料となっている。そして、それは日米開戦についても有用な情報源である。それらの最新の資料を可能な限り使ってこの著書を仕上げた。読者は歴史の動きを感じるであろう。
この著書は、著者として名前が出ている3名の責任の下に書かれたが、著者は、様々な形で参加、協力した研究会の会員に感謝するしだいである。この著書が、日本の再生に寄与することになれば幸いである。
2012年11月
日本再生研究会(南カリフォルニア)理事長兼編著者 目良浩一
ロスアンジェルスにて