【既報関連】ジウマ大統領は1日、赤字予算の黒字化を図るための政局調整役を自ら任じ、レナン・カリェイロス、エドゥアルド・クーニャの上下両院議長(共に民主運動党・PMDB)と会談したが、両議長は赤字予算解消のために政府に協力する事は議会の役割ではないと表明、協力が得られなかったと2日付伯字各紙が報じている。
1日朝、最初にジウマ大統領と会談したレナン上院議長は、野党側が求めている予算案の差し戻しこそ否定したものの、会談後、「議会の役目は赤字予算の黒字化のために解決策を見つけることではない。赤字や歳出を減らす事も議会の役目ではない」と語った。
7月に政府との対決姿勢を表明して以来、初めて大統領府に足を踏み入れたクーニャ下院議長も同じ見解を示した。
政府関係者は、議員たちの間に拡がる、赤字幅は305億レアルに留まらないのではないかとの懸念を打ち消す必要性も痛感した。予算案報告役のリカルド・バロス下議(進歩党・PP)はネルソン・バルボーザ企画相との会談後、「議員割り当て金その他で政府の想定外の歳出があり、赤字額は最低34億レアル膨らむはずだ」と語った。
レヴィ財相も、305億レアルと試算されている赤字を埋めるための施策を見出すため、連立与党党首詣でを始めた。
「我々は確固たる決意を持ってこの問題に立ち向かわなくてはならない」と語るジョアキン・レヴィ財相は、予算案をまとめる時点で、公共支出を150億レアル削減するよう主張したが、ジウマ大統領が聞き入れずに歳入増を図ることを強いられた経緯がある。
今回305億レアルの赤字予算案を提出するに至った理由は、700億レアルの歳入を見込んでいた金融取引暫定納付金(通称銀行小切手税、CPMF)が議会の反発などに遭い、提出直前に諦めざるを得なかった事にある。
予算案作成時に歳出削減策が受け入れられなかった上、乗り気ではなかったCPMFを盛り込もうとされたが、議会などの反発に遭って撤回、305億レアルの赤字予算案提出後の記者会見に出る事を強いられた財相は、景気後退と失業率上昇で、望んでいた規模の財政調整さえ叶わない状況に追い込まれている。議員の中からは、同財相は「逐次温度が上がる油の入ったフライパンの中にいるようだ」と評する声も出始めている。
ジウマ大統領の苦境はこれに留まらず、1日には、労働者党(PT)創設者の一人でサンパウロ州在住のエリオ・ビクード弁護士(93)が下院に大統領罷免請求を提出した。
高齢の父に代わって罷免請求を出した娘のマリア・ルーシア氏は、「罷免請求は父個人の意思に基づくもので、既に罷免請求を行った党やグループと示し合わせたものではない」と語っている。