【既報関連】赤字予算提出、自らの主張をことごとく覆されたに近い形となったレヴィ財相が辞任または解任となるのではとの噂が流れ、大統領府は2、3日と噂の火消しに躍起になったと4日付伯字各紙が報じた。予算案提出の直前の同財相は、歳出削減提案を大統領に否定された上、銀行小切手税(CPMF)復活案を呑むことなどを要求された。CPMFは結果的に、議会や政財界からの反対で取り下げられたが、それ以前にも、基礎的財政収支の黒字目標引き下げや、年金受給者への13カ月給の半額の前倒し支給問題などがあり、財政立て直しのための諸提案を否定された財相が経済スタッフの中で孤立化との観測が強まっていた。レヴィ財相は2日、改めてテメル副大統領に心中を吐露。副大統領と民主運動党(PMDB)所属の上院議員らは同日、同財相を全面的に支持する事を表明した。
レヴィ財相の危機に、財相の前職、ブラデスコ銀行の総裁ルイス・カルロス・トラブッコ氏も動いた。2日午前、大統領と会談した同氏は、市場に流れる財相辞任の噂への懸念を表明し、来年度の基礎的収支黒字目標達成への財相の強いこだわりを伝えた。
大統領は同総裁との会談後に開いた会見で「家族にだって様々な意見がある。意見の違いがある事は家族がバラバラだという事は意味しない。意見を交わし、問題解決に当たることが肝心だ」と語り、財相との不和説を否定した。
だが、財相はこの言葉だけでは満足せず、大統領がより明確に自分の主張を認め、同相擁護の姿勢を示す事を求めた。
これを受け、ジウマ大統領は3日にレヴィ財相を呼び、メルカダンテ官房長官、バルボーザ企画相と共に会合を持った。財相は、4、5両日にトルコで開かれるG20財相会議への出発を1日遅らせて参加した。
ジウマ大統領は、この会合で、来年度の予算案を修正し、GDPの0・7%との基礎的収支黒字達成を目指す事を約束した。この約束は明らかに8月31日に提出した305億レアルの赤字予算と一線を画すが、レヴィ財相はこの線だけは譲れないとしている。
メルカダンテ官房長官は会合後の会見で、「レヴィ財相は責任感の強い男で職務に留まる。有意義な会合だった」とし、財相辞任の噂は「誤解と曲解に基づくもの」と切り捨てた。また、「この騒動を利用して利益を得ようとする者がいる」とも語り、経済スタッフは一枚岩である事を強調。連邦政府が来年度、基礎的収支の黒字目標達成を目指す事も約束した。