全国家庭サンプル調査(Pnad)によると、ブラジルでは60歳以上で職場復帰を目指す人が増えていると8日付エスタード紙が報じた。
購買力低下や失業者の増加などで職を求める高齢者が増えている事は、第2四半期の労働力人口(就労者+求職者)は昨年同期比1747万人増えたが、その内の50万2千人が60歳以上という数字からも明らかだ。6大都市圏で行った調査では、第2四半期に増えた労働者数45万6千人中、90%の41万3千人が高齢者だった。
第2四半期に就労していた高齢者は664万5千人で、失業者は17万1千人。どちらもこれまでの新記録だ。上半期の60歳以上の労働力人口は全体の22・7%を占め、22・3%だった昨年同期を上回った。
第2四半期の60歳以上の労働力人口は第1四半期より8・2%増え、平均伸び率1・8%の4・5倍以上だった。この事は、年金だけでは暮らせないとか年金をもらえない、家族が失業して家計が苦しいなどの理由で就労したり求職し始めたりした高齢者が若者以上に多い事を意味する。
50~60歳の人はベビーブームの時に生まれており、この層の人達が一斉に退職すれば労働力人口が一気に減り、社会保障費の負担額も急増すると懸念されていたが、経済状況の悪化で同年齢層の人が労働市場に戻って来れば、労働力不足解消や社会保障費の負担軽減という利点も生む。
また、年金受給には積立期間が足りない人や年金を満額もらえない人は、再就職しての積立再開も可能となったため、生活費を工面しつつ、年金受給額を増やすための就労も考えられる。
ただ、第2四半期の失業者の総計は第1四半期比5・3%増だが、60歳以上の失業者は24・8%増。全部門で雇用喪失が続く中、技術や経験のある高齢者でも、再就職は容易ではない。