【既報関連】欧州諸国がシリア難民にとって主要な避難先の第一候補にあがる中、ブラジルも、特に家族で避難する難民にとって有力な選択肢として浮上してきている。
機械技師のタラル・アルチワニさん(42)は母国シリアの情勢が悪化するばかりなのを見て、1年ほど前に妻と12歳と10歳の子供を連れてブラジルに難を逃れた。
アルチワニさんは機械技師としての職を得る事ができず、妻とシリア料理を売る屋台を始めた。二人は現在、サンパウロ市にシリア料理店を開くために貯金している。
今世界は、第2次大戦以降最大級の難民発生の危機に瀕している。国際移住機関(IOM)発表のデータによると、中東と北アフリカから欧州を目指して地中海を渡った難民は今年だけで36万5千人おり、2700人以上が溺死した。400万人のシリア人難民の内100万人以上が子供だとされている。
未曾有の世界的危機に際し、ジウマ大統領は10日付フォーリャ紙に異例の直接寄稿をした。
同大統領は「ブラジルは難民を『両腕を広げて』歓迎する」とし、「大規模な危機が特に欧州と中東、北アフリカを襲っていているが、ブラジルの門戸は全ての人々に対して開かれている」と記した。
また、「連邦政府は改めて、祖国を追われ、難を逃れてやってきて、この地に暮らし、勤労し、繁栄と平和に貢献する意思のある人は誰でも歓迎する意思を表明する。難民の方々に生きる希望を提供したい」と寄せた。
同大統領は続けて、「シリア内戦の始まりと中東・北アフリカの紛争の拡大に伴って発生した難民に対し、ブラジル政府は積極的にビザを交付してきた。1千万人以上のシリア系移民の暮らすこのブラジルの大統領としてそれ以外の道はない」と表明した。
大統領はまた、2日に世界中の報道機関が報じた、欧州へ避難する最中にボート沈没事故で溺死したクルド人難民のアイラン・クルディ君(3)についても触れ、「恐ろしい悲劇」と評した。