ジウマ大統領(労働者党・PT)は12~14日に主要閣僚との会議を開き、305億レアルの赤字計上のままで議会に提出して物議を醸した16年度予算案を修正すべく、まず200億レアルほどの財政支出削減を行う方針を固めた。14日付伯字紙が報じている。
今回の閣僚会議の目的は、305億レアルの基礎的財政収支の赤字をゼロにし、さらに、16年に国内総生産(GDP)の0・7%という基礎的財政収支の黒字目標を達成する方策を考えるためのものだった。
当初、赤字解消は、ミシェル・テメル副大統領やレナン・カリェイロス、エドゥアルド・クーニャ上下院長ら、民主運動党(PMDB)の要人たちが望む「増税せず、財政支出を削る」ことを優先して進めてきたが、「増税抜きで305億レアルを埋めるのは無理」との判断となった。
12日の時点での支出削減額は「150億レアル」の線で進められていたが、13日には増額され、エスタード紙が200億レアル、フォーリャ紙が220億レアルと報じた。フォーリャ紙では、ジウマ大統領の意向次第では250億レアルに達する場合もありえるとしている。この額はジョアキン・レヴィ財務相が予算案提出前に希望していた削減額だ。
削減内容の詳細はまだ明らかにされていないが、大統領は先日、10の省庁の削減を発表している。また、国が所有する土地や不動産の売却、業務契約の見直し、職員の解雇なども含む。連邦政府関連の職員は2万3100人いるとされているが、少なくとも1千人を解雇する予定だ。
どの省庁を削るかの具体的な話は、現在モスクワでの国際会議に参加中のテメル副大統領の帰国を待ってからとなる。
ただ、ジウマ大統領は今月はじめに企画省が提示した16、17年で5・4%ずつとの公務員給調整案は実行したいと考えている。
支出削減は、PT政権が最大の持ち味としていた「ミーニャ・ヴィーダ、ミーニャ・カーザ」のような社会政策にも及びそうだ。この件に関しては先週、ルーラ前大統領がアルゼンチンでの講演で猛反対して話題になっており、展開次第ではPT内部からの強い反発も予想される。
また、増税を行う場合は議会を通過させる必要があるが、両院議長が反対の立場を取っているため、政府側の提案が却下される可能性がある。