【既報関連】連邦政府が14日に発表した16年の支出削減と増税案に関し、議会からは、金融取引暫定納付金(通称小切手税、CPMF)を中心に強い反発が起こり、政府を悩ませた上、市場の反応を厳しいものにしたと16日付伯字紙が報じている。
赤字予算案による負の反応を解消するための方策を発表した翌日の15日、ジウマ大統領とジョアキン・レヴィ財務相は連立与党の上議、下議を集め、支出削減と増税による赤字解消・増収策に対する理解を求めた。赤字解消・増収策に盛り込まれた17項目のうち、議会の承認を得ずに成立するものはわずか1項目しかないためだ。
だが、議員たちの反応は厳しかった。議員たちが最初に反発したのは、議員割当金の用途を保健部門と経済活性化計画(PAC)関連のものに限定することで、計76億レアルを節約するという案だ。これは、PAC経費の38億レアル切り詰めを補うために政府側からの提案だった。
民主運動党(PMDB)下院リーダーのレオナルド・ピッチアーニ氏は「議員たちにこの件を納得させるのは無理だ」と語っている。
また、政府が年間320億レアルの増収を期待し、かつ、最大の懸案であるCPMFに関しても難色が示された。
ジウマ大統領は今回のCPMFは社会福祉のために限定的に使われ、税率も0・20%に下げたと説明したが、エドゥアルド・クーニャ下院議長らは一様に強い難色を示した。同議長は同日の下院での会議の前に「0・20%か0・38%かは問題ではなく、いずれにせよ議会ではCPMFは通過しない」と語った。
また、同議長はCPMFの承認はスケジュール上、不可能との見解も示している。同議長は、CPMF承認には憲法改正の手続きが必要なため、憲法・法務委員会(CCJ)をまず通す必要があり、それから特別委員会の設置となるとし、「特別委員会で40回審議するには60~80日はかかる。年内の承認は無理だ」と語っている。
だが、議会側がCPMFに関して消極的な反応を見せた15日、市場ではレアルが0・97%下がり、1ドルが3・856レアルに跳ね上がるという皮肉な結果も生まれた。14日に連邦政府が赤字解消・増収案を発表した後、ドル高騰は一時的に落ち着いていた。
レヴィ財務相がこの日の会議で、スタンダード&プアーズがブラジルの信用格付を優良債権国から引き下げたのは「議会の無理解のせいだ」と語ったことも、議員たちの激しい反発を買っている。
なお、同日持たれた州知事との会合では、州や市の財政を助けるため、CPMFの課税率を0・38%とするよう要請する声も出た。