チリ北部で16日夜、マグニチュード8・3の地震が発生し、津波も発生。少なくとも8人の死者が出、住民ら100万人が避難を余儀なくされたと17日付伯字紙並びに各紙サイトが報じた。
最初の揺れは午後7時54分。首都サンチアゴから北北西229キロの沖合いを震源とする地震は、深さ25キロと比較的浅い所で起きたため、アルゼンチンやブラジルなど広範囲で揺れを感じた。同国沖合いは、海側のプレートが陸側のプレートの下に沈み込み、地震活動が活発な地域だ。
地震後の余震も多く、ブラジル籍のダンス教師のアレハンドラ・ソト・オセスさん(両親はチリ人、3年前から首都サンチアゴ在住)は、地震からタクシーで帰宅するまでの40分間に余震を3度感じた。午後10時15分のブラジルのニュースは、余震は12回で内6回はM6以上と報じたから、不安の中で夜を過ごした人が多かったはずだ。
イラペル市などではこの地震で家屋の倒壊や地すべりも発生し、30歳前後の女性が倒壊した家屋に直撃され死亡。サンチアゴでも心筋梗塞を起こした86歳の男性が死亡した。17日午後3時現在、地震による死者は少なくとも11人で、数十人が負傷と報じられている。
震源に近いコキンボでは、地震発生から1時間半後の午後9時25分に高さ4・6メートルの津波が観測された。また、ヴァウパライゾでも1・7メートルの津波が起きたという。チリ当局は、津波による被害を防ぐため、沿岸部の住民100万人以上に避難を命じたが、津波警報は17日朝、完全に解除された。
今回の地震は、今年発生した地震では世界一大きく、ブラジルでも南大河、サンタカタリーナ、パラナ、サンパウロの4州で揺れを感じている。
バチャレ大統領は緊急会議を開き、17日に主要閣僚や国会議員同伴で被災地を訪問した。
同国では昨年もM8・1の地震が起きて6人が死亡。2010年にもM8・8の地震で723人が死亡。1960年に起きた地震はM9・5で、5700人が死亡し、200万人が負傷した。
今年のチリは、大規模洪水や森林火災に火山噴火と災害続きで、経済活動などが低下。8月時点の大統領支持率は22%まで落ち込んでいる。
なお、地震による津波は既にハワイなどにも到達。日本では18日明け方(ブラジルでは17日夜)に1メートル未満の津波の可能性がある。