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15日のルーラ氏(Ricardo Stuckert/Instituto Lula)
15日のルーラ氏(Ricardo Stuckert/Instituto Lula)

ルーラ=ジウマと大統領官邸で会談=予算補正案を全面支持へ=経済安定と罷免防止優先=連立には忠誠心を要請

 ルーラ前大統領は17日にブラジリアに飛び、大統領官邸でジウマ大統領と緊急会談を行った。ルーラ氏はそこで、連邦政府が14日に発表した16年予算補正案を支持し、自らも同案への支持を呼びかけることを約束した。また、閣僚改造に関しては、より忠誠心の強い政党との連帯強化を求めた。18日付伯字紙が報じている。

 ルーラ氏は、ジウマ大統領が予算補正案の作成中の段階だった先週、アルゼンチンでの講演で、「このままでは失業者が増え、労働者の給与の上昇も滞ってしまう」と批判した。特に持ち家政策のミーニャ・ヴィーダ、ミーニャ・カーザや経済活性化計画(PAC)の削減には強い懸念を示していた。
 だが、ルーラ氏の関係者によると、14日に発表された予算補正案に関し、ルーラ氏は全ての点で賛同したわけではないものの、経済や社会の安定とジウマ氏の現職維持を優先するため、補正案を支持することに決めたという。
 ルーラ氏の広報担当者によると、ルーラ氏は補正案への支持取り付けのために「街頭に出て直接有権者に訴える」と約束。労働組合や社会活動家たちに支持を求めていくとともに、連邦議会に提出されている大統領罷免請求の審議開始への動きを阻止する意向だ。
 また、サンパウロ市では同日、労働者党(PT)幹部の会議が開かれ、ルーラ氏の意向に続くように、予算補正案を支持することで話がまとまった。幹部会議では、金融取引暫定納付金(通称銀行小切手税、CPMF)復活と、社会政策の根幹の生活扶助が維持されたことを評価する声が目立った。
 ルーラ氏は省庁削減による閣僚人事に関しても、議会工作をより有利にし、罷免請求の審議を遠ざけるため、連邦政府により忠誠心を示す政党との連帯を強化するよう助言した。連立与党だが議会では連邦政府の経済政策関連法案に反対票を投じているのは、共和党(PR)、ブラジル共和党(PRB)、民主労働党(PDT)で、PDTに大臣職が割り振られている労務省が社会保障省と、PRから大臣が出ている運輸省が港湾局や民間航空庁と併合されるのではないかとの憶測も既にあがっている。
 ルーラ氏はジウマ氏に政局調整(アルチクラソン)チームの変化も求めている。この件に関しては、連立与党との関係も考慮して、現農相のカチア・アブレウ氏(民主運動党・PMDB)の官房長官就任説もあがっていたが、ジウマ大統領自身が、批判の的となり交代が求められているアロイージオ・メルカダンテ氏の留任を強く希望しており、ルーラ氏にもその意向は伝えられた。ルーラ氏には、今一度、政府提案が議会で否決されたり、罷免請求の審議がはじまったりすれば、ジウマ政権には命取りと考えており、現長官留任の場合、同長官の権限や職責は狭まる可能性も強い。