【既報関連】先週末から今週にかけ、ジウマ大統領(労働者党・PT)の罷免問題で、連邦政府やルーラ前大統領、民主運動党(PMDB)をめぐる動きがかなりあわただしくなり、議会での審議が現実味を帯びそうな様相を呈してきている。19~21日付伯字紙が報じている。
18日、ルーラ前大統領はエドゥアルド・クーニャ下院議長(PMDB)に対し、下院に提出されているジウマ大統領の罷免請求を差し止めるように願い出た。
これは、元PT創設メンバーだが2005年にPTと関係を切ったエリオ・ベクード氏と、カルドーゾ政権で法務相をつとめたミゲル・レアレ氏(ともに法学者)が17日に、通算13通目となる罷免請求を提出したのを受けた行動だった。この罷免請求は、民主社会党(PSDB)や民主党(DEM)といった野党に、PMDBの反乱分子の支持を得ている。
ルーラ氏はクーニャ議長に、ジウマ大統領はペトロブラス内の汚職や、ビクード氏がいう、連邦会計検査院(TCU)が審理中の粉飾会計に関する責任を負う立場にはいないことなどを理由に、罷免請求の進展を止めるよう頼んだ。
罷免請求を下院本会議で審議するか否かは下院議長の判断次第で、本会議が大統領に罷免に値する犯罪行為があったと判断した場合は最高裁、大統領が何らかの責任を果たしていないから罷免に値すると判断した場合は上院が、罷免か否かを審理することになる。
他方、19日付、20日付フォーリャ紙は、PMDB内でPTとの連立解消の動きが出はじめていると報じている。19日付では、ミシェル・テメル副大統領が先週始めにロシア外遊に発つ前、カルドーゾ前大統領やアエシオ・ネーヴェス党首、元大統領候補のジョゼ・セーラ上議といったPSDB要人が、「PMDBが罷免の動きを率先するべきだ」と持ちかけたと報じている。
また20日付では、PMDB幹部が既に連立を抜ける時期を検討しはじめたという。それによると、同党幹部らは現政権の失政を認めており、連邦会計検査院(TCU)が連邦政府の14年度の会計を審査する10月初旬か、PMDBが党大会を行う11月15日が、PMDBが連立を離脱する「Xデー」になる可能性が強いようだ。
また20日付エスタード紙によると、連邦政府は大統領罷免を食い止める最終かつ安全な手段として上院に託すことを考えているという。連邦政府はレナン・カリェイロス上院議長(PMDB)と良好な関係を保っており、同氏の周辺でも、社会や経済の混乱が収まらない状況でテメル副大統領が大統領職を引き受け、失政を行った場合、18年の大統領選で独自候補を出したいPMDBにとって得策にはならないと考えているという。
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